卒業

卒業

桜と共に花開き舞っていく…それぞれが自由に自分の道へと散って行くんだ。

桜舞う4月の今日この頃。
桜の木下で1人の男の子が座って居た。
桜吹雪の中、その男の子を見つめていたらふと目があった。
私は慌てて目をそらし、その場から走り去った。

入学して間もない私には、あまり友達がいなかった。外見は、派手なのに…中身は、見知りが激しく、内気な性格の為、話し掛けてくる人はあまりおらず、自分から話し掛けたりもしないので、友達が出来なかった。
そんな時、彼に出逢った。桜の木下で座って居た男の子の顔は、良く覚えていなかったが、一目見て、あの日の彼だと思った。私と彼は同じ学校だった。でも、クラスが違う。5クラスある中で、彼は1組、私は5組…だから今まで気付かずにいたんだ。偶然仲良くなった子が、1組だったので、もう一度彼と巡り会ったのだった。
彼は、1人で黙々と本を読んでいた。
放課後になると、図書室へ行き、窓際の席に座り、また本を読んでいた。
《よっぽど本が好きなのかなぁ~?》
それからとゆうもの、私は、図書室に行くのが日課になっていた。本は割りと好きだったので、私も彼と同じく、黙々と本を読んでいた。
今日も放課後に図書室へ行った。しかし、彼の姿は見えない。
《珍しいな~…》と思いながらも、私は本を読み始めた。
「君も本が好きなのか?」
突然誰かに話し掛けられた。私は、顔を上げた。
「え?」その瞬間、私は口が閉じない程ビックリしていた。
なんと!私に話し掛けてきたのは、彼だったのだ!
「いつも、ココで本を読んでいたから…本が好きなのかと思って」
と、彼は言った。
私は慌てて口を閉じた。そして、深呼吸をして、答えた。
「はい」
絶対今、赤面してるよ…

それから、彼とはたまに話す仲になっていた。
といっても、放課後図書室へ行った時に挨拶を交わす程度なのだが…。
それでも私は嬉しかった。
《あれ?何で嬉しいのかなぁ~?》その時の私は気付いていなかったんだ。
小さな芽が芽吹いている事を…。

卒業

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-06

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