私のはなし
何も無い。
私には、何もありません。
その代わりに、
もう寒くも痛くもありません。
寒くて、痛かったのは、私だった頃の私です。
あの人に焦がれていた、私です。
私は、あの人に芽吹き、花を咲かせ、そして最後は一人で枯れたようです。
実を結ぶことはできなかったのでしょう。
二度と息を吹き返すことはないのでしょう。
壊れそうな姿がとても痛々しかった。
だから、私は私に言いました。
あなたが望むなら、消してあげる。あの人を愛したあなたも、あなたに愛されたあの人も。と。
私は縋るように頷き、そして動かなくなりました。
そして、私は私を消しました。
何も残りませんでした。
不思議なほどに、何も残りませんでした。
私には、何も無いのです。
私のはなし
初めての作品です…!
読んで下さってありがとうございました。
緊張しました。