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この話は、主人公、走馬が様々な経験をし、自分の速さを追い求める陸上競技のはなしです

初走り

〜 わー、わー!ヒューヒュー!!


「嘘見てぇ」


僕(坂本 走馬、サカモト ソウマ)はあまり運動が得意ではなかった。
運動会でもそんな活躍もせず、マラソン大会でもそんなにいい順位では無かった。


なのに今は、全国大会のスタートラインに立っている


僕の始まりは全てはここからだった、



中学一年のある日、何を思ったのか僕と同じ学校だった松本梨花(マツモト リンカ)が僕を陸上部に誘ってきた、


「ねぇ、走馬君!私と同じ、陸上部に入ってみない?」


僕はそんなに運動が好きでは無かった。
だからその時は当然断った。


「残念だけど、辞めとくよ。」

だが次の一言でそんな言葉はすぐにかき消された。


「残念だなーー、勇太君は入るって言ってくれたのになー、」


!!


山本 勇太(ヤマモトユウタ)とは小さい頃からの親友だ。


「あ、僕、やっぱ……」


「なにっ??!」パァァァ

はっ、いかんいかん。
また都合よく言う事を聞いてしまうところだった。梨花は僕と勇太が仲いいのを知っていて、よくそれを利用する。


「いやっ、やっぱ何でもない。」


「なーんだ。ねぇじゃあ、こうしよ!
私と勝負しよ!!種目は800m。私がかったら走馬君には陸上部に入ってもらいます
逆に走馬君がかったら、諦める。」


そんな強引な……いやまてよ、相手は女子だ!!しかも勝ったらもう付きまとわれない。よし!


「わかった。俺が勝ったら本当に諦めろよ」


「じゃ、決定!、」


僕はこの時、余裕で勝てると思っていた


決戦当日!!


「女子なんかに負けんなよー!」


「梨花ちゃんガンバレー男の子何て大したことないよー」


僕と梨花が勝負するのを聞いてグランドには、たくさんの人が集まっていた。


「走馬、梨花、ああみえて結構速いから気ぃつけぇよ!」

その勇太の一言で、僕の心に
不安という文字が上がった


「位置について」

パァーん!!


ピストルがなり勝負が始まった。

先に前へ出たのは僕だった。
僕の学校のグランドは一周400m、今回はそのグランドを2週する。

(ハッ、ハッ、フー)


半周が終わった辺りで僕の息はまだまだ元気だ。
少し後ろを向いた。見えていない
少し首を曲げただけでよく見えなかったが差があるのだろう。


一周が終わり、いよいよラスト100m!!
僕はもう一度後ろをみてみる

大丈夫いない。

そして前を見た瞬間!!

梨花が前にいた

!?

一瞬何が起こったか分からなかった。

僕は考えることを放置し、必死に走った。


ばっ、


同着だった。
僕は納得出来なかった。
何故ならいきなり僕の横に現れたからだ。

パチ、パチ

パチ、パチパチパチ


「お前らすげーな!」

「いいもん見せてもらったよー」

ただ、この拍手がとても気持ちが良かった。


「ハァ、ハァ、同着だし、入るかどうかは走馬君がきめていいよ」


そうだった、その為に勝負したんだった。
でもその時、迷いはなかった。


「入る!!そんでまた俺と勝負しろ!!」

真っ直ぐに答えた

帰り道〜

(どうちゃく…)

僕は少し落ち込んでいた。


「そんなに落ち込む事ないて!!
別に誰かがお前の同着やった事について馬鹿にしとるやつなんておらへんし、俺も凄かったと思うで! 」


勇太はそう励ましてくれるけど
相手は女子だったんだ。
そら僕だっていつまでもグチグチ言うつもりはないけど…女子にかー、、、

ドンッ

「あ、すいません。」

「前見て歩かないと、って、あっ!!君、走馬君じゃないか!!いやー、今日の試合見せてもらったよー。
まさか梨花相手にあそこまでやれるとは…
君、ホントに何もしてないんだよね!?」


誰なんだ??


「ラストの走りなんてもう最高だったよー」


なんだ?


「あのどちらさんですか?」


「ん?あ〜申し遅れました、僕はこの近くにある【紅山陸上競技部(コウザンリクジョウキョウギブ)】監督の大道 力(ダイドウ リキ)
、梨花に聞いてないのか?」

この人が…


「はい。紅山のことは聞いてます。」


「で、我がチームに入る気は?」


決めたんだ!
このチームで速くなるって!


「もちろんそのつもりです!」


「俺も」

え?

「えーと、君は確か勇太君だったかな??」


「はい!跳躍力には自信があります!!」

「よし、いいだろう。明日早速河川敷のグランドで練習がある。必ず来い」


そう言って力監督は行ってしまった。

「明日から始まるんやな」


「ああ、そっからいろんなやつに出会うんだろうな、」


そう言ってその日は別れた。

〜次の日・初練習〜

(思ったより人が少ないな…)

その日の練習には、およそ28人ぐらいの人がいた。


「よーしみんな集合〜、」


「はーい」


「今日は、新しい仲間が2人きてくれた。
一人は坂本走馬 。長距離志望だ。
もう一人は中村勇太 。幅跳び市だ。
皆仲良くしろよー。んじゃ解散。練習に入れ」


緊張半分、楽しい半分。
それが今の僕の気持ち。


「宜しくな!」


ミーティングの後一人の男子が声をかけてきた


「宜しく!僕、坂本走馬、走馬って呼んで!」


「俺、西原 宗(ニシハラ シュウ)
宗って呼んで!」


いい人そう…


「んじゃ、そろそろ練習に入るか!」


「そうだね!」


「えーっと…!?」


宗の顔が固まった


「1500m、※タイムトライアル…」


※タイムトライアル
試合と同じ様にタイムをはかって走る事


「か、監督!初めての練習の走馬にいきなりタイムトライアルっていくらなんでも無茶じゃ…」


「初めてだからこそだ。」


「え?」


「まぁ、走馬が嫌だと言ったら別だが。」


宗がこちらのみて「どうする?」という目をした

確かに初めてでいいタイムが出るとは限らない
でも今の自分のタイムを知っておきたいという気持ちもあった。

…ここから速くなっていくんだ!!


「俺、やります!!」


「よーし。んじゃ、準備しろ!」


靴ひも…よし!!
服装…よし!!
やる気……よぉーし!!


「ルールは簡単、一周400m×3週+4分の3周。
なお、フライングは1発アウト。
分かり易いよう、位置について、パァーンで行きます
それでは、始めます」

宗はどれくらい速いんだろう…
フライングしたらどうしよう…
色んな気持ちが僕の心のなかで飛び交って破裂しそうだった。

「位置について …」

パァーン!!


最初に飛び出たのは、やはり宗だった
僕は宗の真裏についた
そして、宗が右から後ろを見た時、僕は左に寄った逆のときもそうした
梨花が俺との勝負の時見せたのは、多分これだ



3週目
おそらくだが、宗は俺に気づいていない

…このまま付いていけば、ラストで抜ける!
と思ったとき、いきなりペースを上げた!

(しまった!※ロングスパート!)


※ロングスパート
ゴールがまだ遠い内に早めにかけるスパート


僕はそのまま離され、宗に負けた
僕のタイム、5分03秒
宗のタイム、4分53秒

元々勝てるとは思っていなかったけど
こんなに差があるとは思わなかった


「お疲れ!」


そう声をかけてきたのは宗だった


「やっぱ宗は速いね、」


パチパチパチ


「いやー、素晴らしかったよ」


そう笑顔で近づいてきたのは、力監督だ。


「走馬君。君が見せた走り、影走りだね。」


影走り…


「いや、その…なんていうか、梨花がやってたのを真似しただけで…


「そうか。(見ただけで影走りが出来るとは…)」


宗は影走りという言葉に反応したのか、近づいて僕にこういった


「僕が最初からとばすタイプだったら負けてたかもしれないな、」


そして笑って向こうへ行ってしまった


「確かに影走りはいい走り方だが、君にはそのさらに上の走り方を身に付けられるかもしれない、君だけの走りが…」


僕だけの、走り…


「明日この河川敷にきてくれ教えてやる。」


「はいっ」


僕はとにかく嬉しかった
一つは宗という仲間に出会えたこと
二つは僕だけの走りが身に付けられるかもしれないということ

よーし、絶対身に付けるぞ!!

僕は心でさけんだ
〜勇太サイド〜


「じゃ、僕は長距離だから!また後で!」


そう言って走馬はトラックに行ってしまった

周りは知らない人だらけ。
転校初日の気分だ

「よぉ、お前が新入りの勇太ってやつか?
幅跳び希望だそうじゃねーか。
俺も幅跳びだ、よろしくな勇太くーん?」

ニヤ‥

「へぇ、随分と上から目線やん。」

ざわざわ
「おいおい、あの二人いきなりライバル心むき出しだぜ!」

「中々面白い勝負になるんじゃねーの?」

スタスタ

「おーおー血気盛んだな!」

力監督だ

「おい龍平、あいさつはしたのか?」

「チッ‥高橋 龍平【タカハシ リュウヘイ】よろしく。」


どうやらこいつは人付き合いが苦手らしい。


「おれは山本勇太や、よろしく。」


「そんじゃ、今日のメニュー、は…
とりあえず、新入りもいることだし、
記録はかろうか。勇太、歩幅は分かるか?」

歩幅は前、体育で合わせたことがある。

「はい。分かります」

「良し、それじゃ、準備開始!!」


十分後

「飛ぶ回数は二回、※ファールの記録はとらない。それでは、最初に高橋。」

※ファール
走り幅跳びの踏み切り板
踏んでとんだりすること

「じゃ、俺先なんで。よく見とけ、」

そう言って龍平は、飛ぶ体勢に入った

全身の体重を後ろにかけ、勢いをつけて走って行った。
歩幅はピッタリ。
踏み切り板も踏まず、後は記録を聞くだけだ。


「高橋龍平、記録、3m50cm」


「ま、ぼちぼちか…」

龍平はそう言って俺のほうをみてニヤリと笑った

「次、山本!」

フー、大丈夫、普通にやりゃ、


俺が体勢をとったとき必死に走る走馬の姿が見えた。
あいつも必死!

「おい龍平、あいつどの位飛ぶと思う?」

「…正直、そこそこ飛ぶと思うぜ
あいつの脚、半端な筋肉じゃ無かった。」

その時俺にはその会話は聞こえていなかったが、みんながこっちを見たのは分かった。

「見た感じそんな太くもねぇけどな」


「バーカ。俺が何年飛んできたと思ってんだ
お前らにはわかんねぇだろうが、余分な脂肪は無かった。おそらく0%に近いだろう。」


(1、2、さーんっとっ!!)


体全体が風に包まれた。

ザザッ

(踏み切り板もふんでない完璧だ!!)


「山本勇太…記録…さ、3m60cm…」


「やったでー!見たか!!龍平!!」


(なんてこった!少しはやるとは思ったが…
予想をはるかに上回った!!)


「おい!計測!!間違えじゃねーのか!?」


「そーだ!龍平が負けるなんてありえねぇ!」

ちっなんや、負け惜しみかぁ?

「なんやお前ら!!喧嘩うっとんか!?」

「やめろ!!お前らっ!!
計測ミス何かじゃねぇよ!!
そいつの実力は本物だ、だが俺が負けたというのはどうかな?まだ後一本あるんだぜ?」


そういった龍平の目は、まるで本物の龍のようだった。

二本目、

「見とけ、勇太」

(…勇太って読んだ…)

ザザッ

動揺している間に龍平の二本目が終わった

「記録、4m!!」

あまりの高記録に俺は何も言えんかった、

「やっぱ龍平には誰も勝てねぇって」

はっ

その誰かが言った一言で目が覚めた

「お、俺だって!まだ二本目がっ!いっ? 」

右足に痛みが走った

ガシッ

「おい、その足じゃ、今日はもう無理だ」

「か、監督…」

勝ちたかった、悔しい、クソっ

そう心の中で思い地面を殴ろうとする手が止まった


「悔しいが、お前すげえよ」


龍平…


「ちぇっ、でもお前には勝てなかった」


「ま、まだ俺には及ばないってわけだ」


こいつ…


「と、とりあえず、その、よろしく」

なんだ、素直じゃねぇな

「おうよろしく」

これからこいつを追い越せるだろうか
いや、追い越す!!いや、飛び越す!

タッタッタッ!

宗「よし!ラスト3週ペース上げるぞー!
皆がんばれ!」

いつもの河川敷でいつもの宗の掛け声。
ここは紅山陸上競技部、
僕がここに入ってもうすぐ2ヶ月になる
チームにもだいぶなじめてきたってかんじかな?

走馬「やっぱし宗ははやいですね、はぁ、はぁ 」

珀「そりゃ、2年の俺らを抜かして長距離組のキャプテンに任命されるぐらいだからな」

ベシッ

珀「って!んだよ凛空か」

凛空「ったく後輩に抜かれて平気な顔してんじゃねーよ!危機感もてよな、たく、ゴホッゴホッ、」


珀「走りながら喋るからだ、このバッ、ゴホッゴホッ」


この2人は僕の先輩の中野 凛空【ナカノ リク】君と中野 珀【ナカノ ハク】君で双子の兄第で珀君は少しお調子者で凛空君は割としっかりしているチームで2番目の速さを誇る...?

タッ!タッ、タッ...

宗「よーし、これで今日のメニューは終了!お疲れ様でした。」

全員「お疲れ様でしたー!」


珀「っか~、もうヘトヘトで走れましぇ~ん」

凛空「何が「もう走れましぇ~んだ」ほら!ダウン行くぞ!」


仲のいい2人だなー
僕もダウン行くか。


宗「あ、そうだ。走馬はさっき大道監督が呼んでたよー。」


走馬「え、監督が?なんだろ?」


んー、何かしたっけなー?


走馬「ありがと宗!言ってくるよ!」


~勇太サイド~


飛有馬「よーし、今日は50mダッシュ30本
その次ももあげ200回
その次両足とび
最後補強して終わりだ。」


ハード過ぎやろ!?
この人は真栄田 飛有馬【マエダ ヒュウマ】
2年生で幅跳び組のキャプテンで、ハードなメニューを練習に入れるけど、確実に俺らが
速くなるメニューを考えてる
けど今日のきつすぎんか!?


龍平「どうした勇太~?まさか
こんなメニューもこなせへんのか?
へへっ、そんなんで俺にかてるのかなー?」

勇太「う、うるせー!!らくしよだ!こんなもん!」

ったくコイツはイチイチ腹立つなー!

飛有馬「よし、じゃあ最初は50mダュシュ30本!よーい始め!」


龍平・勇太「ぬぅおーーー!!!!」


ダダダダダダ!!バンッ


勇太「クソ、同着か、」


龍平「なかなかやるじゃねーか
けどそれで30本もつかな?」


そう言ってる龍平も少し息が上がっている。


飛有馬「2本目、よーい...」


龍平・勇太「うおーーー!!!!」


ドダダダダダダ!!


チームメイト「あ、あいつらあれでもつのかよ...」

~二十分後~


龍平・勇太「もダメだ、足が動かん...」


チームメイト「結局もたねぇーのかよ!!」

俺の足はもうぱんぱんで龍平も俺と同じぐらいぱんぱんだった

勇太「へっ、次はももあげだぜ?動けんのか?ん?」

へ、どうせやるんやろ龍平


龍平「大きなお世話だぜ、」


飛有馬「じゃあ、ももあげ、よーい」


龍平・勇太「のぉわーーー!!!」


シュタタタタタ!!

チームメイト「はええーー!!
50mダュシュのあとなのになんて速さだ」

そう言って俺たちを見て唖然としていた


飛有馬(ふふっ、高橋と中村。いいライバルだ)


~走馬サイド~

走馬「あのー、監督~?」

部室に来たものの誰もいない。

ばんっ!!


後ろのドアからいきなり何かが現れた


大道「おー!!走馬来てたのか!
って、何で尻餅なんてついてんだ?」


あんたがいきなり出てくるからだ!!


走馬「あのー、話ってなんでしょう?」


危うくここへ来た目的を忘れるところだった


大道「ああ、再来週に※記録会があるだろ?」

※記録会
試合ではなく、他のチームと一緒に走って記録をはかるいわば練習試合のようなもの

走馬「はい」

大道監督は真剣な目でこっちを見ている


大道「お前はその記録会で1500mに出場し、俺が教えた、【あの走り】を見せてもらう、もし無理だったら......長距離を止めてもらう」

!!

走馬「はい」


僕は無意識にはい。と答えた
というかはいとしかいえなかった、

大道「話は以上だ今日はもう帰って休め」

トッ、トッ、ガチャ...

走馬「失礼しました」

そう言ってぼくは部室を後にした


スゥ...


梨花「ちょっとあれはきつかったんじゃない?監督?あれでもし失敗したらどうするの?」


監督「失敗するかどうかは彼次第だ。
が、俺はかならずやってくれると信じてる」


梨花「ふーん、ま、走馬君ならできるかもね。私がで来なかった影走りの進化
【プレッシャーラン】」


トボトボ


走馬(もし失敗したらどうしよう、ホントにやめなけゃいけないのかな、、、)


勇太「そーうま!元気だせってどうしたんだ?」

僕はさっきのことを話した

勇太「んー、ようは、成功すりゃいいんだろ?まだ時間もあるし大丈夫!!」


勇太は本当に気が軽い。
でもその軽さが僕にいろいろな物を与えてくれる


走馬「そうか、そうだよね!!
出来るよね!!」


勇太「おう!もちろん!!」


走馬「ヨーシ、じゃあ、再来週の記録会!お互いがんばれろー!!」


走馬・勇太「おーー!!!」
ブロロロロロ...

走馬「...んん」

空間が揺れている。
頭が何かに小刻みにぶつかっている

凛空「おい!起きろ!ついたぞ!!」


...ゴンっ

走馬「って〜、あ、凛空さん。おはようございます」

凛空さんはなんだか呆れたような目でこっちをみている

走馬(ん?ここは...ばすの中?


凛空「ほら!陸上競技場!」


窓から外を見ると沢山の人が歩いている


走馬「わぁ!ほんとだ!!」

大道「よぉーし、ついたぞ。
お前ら荷物持って俺についてこい」

そう言われて僕はまだフラフラしている体で
外に出た


宗「おはようさん。気分は?

走馬「まだちょっと眠いや...へへっ」

宗はなんだかからかうようなめをして喋りかけてきた

ザッザッ...

走馬「結構ひろ競技場だね。
なんていう競技場?」

宗「蒼海陸上競技場【セイカイリクジョウキョウギジョウ】、この辺じゃ結構有名な競技場だよ」

走馬「へぇー」

〝〟ビリリッ〝〟

走馬(!!、なんか、凄い人が近くに
いる)

そう思い僕は周りを見渡した

宗「どうかした?、走馬っ、走馬ってば!」

その宗の声で目が覚めた

走馬「ああ、ごめん。なんか、
凄い人が近くにいた、、、気がする」

うん。見てはない、気がしたんだ

宗「ふぅーん。1500の選手じゃなかったらいいね笑」

からかってる...でも、


走馬「ああ、そうだね、ホントに...」

宗「...」


〜20分後〜


大道「よぉーし!んじゃ、ここらにテントはるか!」

全員「ウィース」

バサっ


おい!そこもて!

そっちも支えといてくれ!

手離すなよー


さすが、テントはりは慣れてるんだな...
もし雨が降ったらこのテントでしのぐんだからな...しっかりつくらないと!


〜1時間後〜

大道「よーし、走馬ー、宗ー、そろそろアッ
プ行ってこーい」

宗・走馬「はーい」


ガヤガヤ

走馬「うわー、やっぱし人多いね!」

見渡す限り人!!

宗「なんせ今ここには58チームが出場してるからなー」

走馬「へー...」

〝〟ビリリ〝〟

走馬(!!、まただ!)

僕はまたあのとてつもないけはいを感じた

走馬(どこだ!?どこにいるんだ!...!!)

トラックの反対側に、その気配の主がいた

宗「あの人なの?」

走馬「うん多分...」

フォーム、スピード、そして何よりも殺気に満ちた目。全てが周りの選手と違った

宗「だとしたら相当タチが悪いよ、」

走馬「え?」

宗「あの背中の文字」

僕は目を凝らしてあの人の背中を見た

【蒼海陸上競技部(セイカイリクジョウキョウギブ)】

走馬「セイカイ...あ!!」

宗「そう、ここ蒼海陸上競技場をホームとするチーム、蒼海陸上競技部の部員だろうね」

なるほど

ドン!

走馬「いてっ、あ、すいません、って梨花!」


梨花「たーっく、なにマジのになってんの?まだ試合は1時間ちょいもあるんだよ?もっとリラックスしなきゃ!」

梨花はそう言ってもう一度僕の背中を叩いた
この子は緊張をしらないのか?

走馬「梨花は緊張しないの?」


梨花「ん?私?私はまだ試合まで2時間近くもあるし、」

宗「梨花は今日は3000だよね?」

へぇ、梨花は今日3000か...
じゃあ今日はお互い勝ち負けなし、か

宗「じゃあ、僕らはアップ始めるから。
またあとで」

梨花「うん、じゃ、頑張れ〜」

ホント気楽な奴だなー

走馬「ったく、何しに来たんだよー」

宗「はははっ、でもおかげでリラックスできたんじゃない?」

んー、もしかすると梨花はその為に来たのかなー
ま、どちらにせよちょっとリラックスできた

宗「よし!はじめるか!」

走馬「うん!」

〜テントにて〜

僕らがアップしている頃、テント内では2人の男子が暇を持て余していた

勇太「あーもう、何で俺らは出れへんねん!おかしーやろ?!」

龍平「しょーがねーだろ、今回の記録会はそれぞれの種目で出場出来る人数がきまってて、幅跳びなんて俺らのチームじゃ人気種目だ。みーんな先輩方がとっちまったんだからな」

というわけで、このお二人はそれぞれの補助にあたっている

龍平「お、宗と走馬。帰ってきた」

勇太「お、ほんまや、おーい!!」

相当暇だったんだな
僕らが帰って来ただけで嬉しそーにしている

宗「ただいま、」

大道「おー、二人共戻ったか。勇太、龍平仕事だ、この二人を※招集場まで連れてってやれ」
※招集場
試合前に選手が集まりそれぞれの人数などの確認をする場所

龍平・勇太「ウィーッス!」

勇太「そんじゃ、俺は走馬を連れてくから、龍平は宗よろしくー」

勇太と龍平の会話を聞いてると喧嘩にならないかいつも心配になる

龍平「いちいち腹立つ言い方すんな、うっとうしい、いくぞ!宗」

宗「う、うん!ははっ、
それじゃ頑張って、走馬!」

走馬「宗も頑張って」

~招集場~

走馬(皆速そうな人ばかりだ…怖い)

勇太に連れられ招集場にきて一気に緊張感がたかまった

走馬(どうしよう、ここに来て急に不安になってきた)

ドンッ!!

走馬「あ、す、すいません!!」

ビリビリッ!!

?「ああ、いいよ平気平気、それよりおまえ、大丈夫?
震えてるぞ?」

この人だ、

?「なんだ?俺とどっかであった?

走馬「あ、あのすいません、ジロジロ見ちゃって、僕、紅山陸上競技部の坂本走馬です。」

?「俺、蒼海陸上競技部の神山 勝人【カミヤマ マサト】よろしくな!!」

勝人…

勝人「何でそんなに震えてんの?って話してたんだけど?」

僕はまだ震えていた
走馬「え…と、そのー、不安なんですよ。
僕は今までただ走るのが好きというだけでやってきたけど、ここにきたら皆真剣な顔してるし、僕の走りが通用するか」

その時の僕の目の輝きは無くなってた気がする

勝人「ふーん。じゃ、お前はそんだけの努力しかしてなかったってことだな?」

!!

走馬「そ、そんなことない!!」

走馬(そうだ、あんなに頑張ったじゃないか!!)


~二ヶ月
大道「よぉーし、走馬。今日はいよいよ必殺技をお前におしえる
その名もプレッシャーrun!!」

龍平「ぷはっ!なにそれ?名前ダッセー」

龍平は思ったことをすぐに口に出す

大道「な、名前はいいんだ!!」

結構考えた名前だったんだろう。少し悲しそうだ

大道「ゴホン…それじゃ、気を取直して、内容を説明する。」

どんな内容だろう

大道「今までの影走りは、相手に気づかれないのがきほんだった
が!!今回は残り半分の時点でわざと相手に気づかせる。その方法は様々。
例えばわざと息を荒くするや、足音を大きくするなどだ。
そして大抵のやつは、焦ってペースを乱して体力を大きくしょうもうする。
そしてギリギリまで体力を削った後、ラストでいっきに抜く!!
これが、プレッシャーrunだ」

走馬「おおー!!……お?でもそれって相手に気づかせる時に自分も体力を消耗してしまうんじゃ…」

大道「ああ、それが簡単に出来ない理由だ」

僕は改めて走るのは単純だけど難しいということを知った

run

ありがとうございます

run

陸上競技のはなしです

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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