犬になったぼく 第一の間奏
『犬になったぼく』
一部と二部の間の話です
第一章 張り紙
第一の間奏
探し人
名前・・・アインツェル・グラムディー・ヴォルフ(Einzel・Guramdi・Wolf)
年齢・・・13歳
特徴・・・茶髪のネコ毛 気味の髪、 身長163 体重43
見つけた人は警察に
この張り紙は全土までとはいかないが、少なくともヴォルフとかいう少年の故郷には隅まで張り巡らされた。ただし、張り紙は本来の役目を果たさず、誰の目を引くことはなかった。なぜなら張り紙のヴォルフとかいう少年がいなくなって困る人はせいぜい少年が通っていた学校の同級生と、少年の親、他には少年の近所にすんでいた人たち位だったからだ。その少年がいなくてもその町は十分に稼働した。だからその少年を探すものはほぼ皆無と言えた。自分達の生活に支障がでないから探さないこれが現状であり、現実だった。
エイラム・フィールド。それが彼の名前だ。歳は17歳。彼はこの町でヴォルフとかいう少年の『探し人』の張り紙をみた少数の人間のひとりだった。
「ん?」
エイラムは急に立ち止まり、歩道から天に向かい、伸びている電柱を見つめた。正確には彼は電柱に貼ってある張り紙を見つめ、立ち止まっていたのだった。俺は知っている……このヴォルフという少年を知っている。
友人が急に立ち止まったエイラムに声をかけたが、いまの彼にはそんな声聞こえていなかった。彼は必死に頭を働かせ、過去17年の自分の人生上で、このヴォルフという少年の繋がりはないか再検索した。エイラムは『探し人』に添えられているヴォルフ少年の写真を食い入るように見つめ脳内検索に役立てた。『探し人』の文の通り、少年の髪は艶のある茶色でネコ毛ではあったが、すこし黒混じりだった。とても澄んでいて、きれいなブラウンのその目は、まるで琥珀のような神秘さを秘めていた。肌は写真からでもとてもきれいだとわかる、エイラムからみて、顔立ちは幼さを感じるが……一言でいって、ヴォルフという少年はとてもハンサムだった。
この顔は絶対に見覚えがある、見たら忘れないだろう……同じ町にすんでいたから、すれちがったとか そういう程度の関係じゃなかったはずだ。
……あれは3年前だった季節は……たしか……俺の服装からして冬だった。その日の俺は一人公園のベンチに腰掛けていた
犬になったぼく 第一の間奏
二部につづくー