踊り子

今日もわたしは踊る
一人で踊る

誰にみとられないまま
しとやかに踊る

ここは酒場
昼の人だかりで騒ぎがない落ち着いた酒場

記憶の一部が欠けているわたしは
楽しい記憶しかない
ある一定の男にいつも褒められた記憶しか無い

こんなのって普通ありえないよね?
だから踊る。
踊れば気分はスッキリ


今日もわたしは踊る
ひとりで踊る

誰にみとられないまま
力強く踊る

ここは砂浜
夕方の赤く照らされた海に沈もうとする太陽がある砂浜

記憶の一部が欠けているわたしは
強かった記憶しか無い
ある一定の男のために自分の力を磨いた記憶しか無い

こんなのって普通ありえないでしょ?
だから踊る
踊れば気分爽快


今日もわたしは踊る
独りで踊る

誰に看取られないまま
虚弱に踊る

ここは墓場
死したものが眠る夜の墓場

記憶の一部が欠けているわたしは
怖い記憶しか無い
ある一定の男にいつも虐められていた記憶しか無い

こんなのって普通ありえないですよね?
だから踊る
踊れば気分は紛らわせられる


いつまでも”わたし”は踊る
そして踊る
踊って踊って踊り続けて
そして様々な顔が交代しながら


踊りで今の人格を表す


わたしは踊る
心の中で踊る

そこは暗闇
人を殺しつづけた絶望の暗闇

踊り子

高梨 恋(たかなし れん)です。こんにちわ
皆様、解離性同一性障害というものをご存じでしょうか。
簡単に言えば多重人格のもっと悪い版らしいです。初めて知りました。

どんな障害なのか調べてたら可哀想で可哀想でしょうがなかったので
書かせてもらいました。


お読み頂いて恐縮です。ありがとうございました。

踊り子

とある踊り子の話。 解離性同一性障害

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-03-01

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