沈殿、浮遊

かつて憎んでいたものが今は僕の中にある
それは予期されていたことで
だから過去はそれを憎んだのだ
年を重ねる度に皮は剥がれていく
僕はきっと美しいままでありたかったのだ
そう思う事で僕は今を擁護している

汚れたものは沈殿する
地上にだって海底にだって
社会にだって心にだって
そうして体は重くなる
軽くなくては自由に動けない
いや、軽くても自由には動けない
僕は何を求めているのだろう
解らない
けれどいつだって求めている
誰かの胸に、僕の胸に

機械化された僕らの生活で
僕もまた機械化している錯覚がある
それは錯覚に過ぎないのだ
鉄塊のような冷酷を持てたなら
もっと生きやすい
きっと

持て余すこの熱を何処かへ伝えなければ
僕の形は変わってしまうだろう
そうして僕を構成する何もかもが晒され
軋み
ここよりも下に墜ちて行くのだ
それを恐れて
僕は僕であろうとして
地上に確かに立つけれど
体だけが留まって
心だけ何処かへ浮いていってしまいそうな
そんな汚れた予感が
今の僕には沈殿している

沈殿、浮遊

ありがとうございました。

沈殿、浮遊

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-26

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