私の王子様

デートを目一杯楽しんでいたら
すっかり日が暮れてしまった
「ちょっと休みたいから…」
貴方はそう言ったけど
そんな台詞はそのまま受け止めてはいけないって
私だって知ってる
私だって子どもじゃない
でも、貴方が望むのなら
そうなったって構わないよ

部屋に入る
その瞬間、ふわりと体が浮いた
ずっと憧れてた
お姫様抱っこ
貴方は私の王子様なんだって
実感する
このままどこまでも…
そんな夢を打ち砕くかのように
ベッドに優しく下ろされて
貴方も狼なんだ
何だか悲しくなって
でも、それと同時に
女として見られてる
そう感じて少し嬉しくて

私を見下ろして
静かに口づけを落とす
いつもと雰囲気の違う大人びた彼に
戸惑いを隠せない幼い私

「後ろ向いて…」
彼がそっと覆い被さる
貴方の胸が私の背中に触れて
重なった部分が
痺れるように熱くて

たくましい腕で
優しく包み込まれて

頬にそっと口づけを…
触れたところから世界までもが
薔薇色に染まって

じんじんして
もっと続きを知りたくて
でも怖くて
やっぱり私はまだまだ子どもだから

「それじゃ帰ろうか…」
「え…もう?
 いいの?」
なんとなく物足りなくて
思わず聞き返す
「このままじゃ…
 我慢できなくなりそうだから…」
別に、我慢なんて…
「僕、君を大切にしたいから
 君の心の準備ができるまで
 いつまでも待つよ」
真剣な顔をしていたと思ったら
照れ臭そうに笑って
目をそらす
「本当は自信がないんだけど
 こういう経験ないから…」
愛おしくて
私から貴方に
初めてキスした
すると、彼は
みるみるうちに赤くなり
固まってしまった

もう一度キスしたら
目覚めるかしら

私の王子様は
やっぱり可愛いと思う

私の王子様

私の王子様

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-02-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted