イノセンス~Innocence~
文章を楽しみたい人は前書きを読まなくて結構です。
これはOHストーリーである。私のブログでの構想とこの世界観を表現するものである。ヲクヤマ大翔を超える物語の創造から、これからのコンセプトの文章の作成を試みる。図面に呪いをかける。これは作品だッ!
登場人物 ヲクヤマヒロト トシロウ ケンタ ナヲキ
特別出演 ハーン原人 ヲサダ
周辺人物 復興住宅の住人多数
君がいなくなってから9年。僕は何を思って生きてきたのだろう。
プロローグ
君がいなくなってから9年。僕は何を思って生きてきたのだろう。今でも最後に見た君の笑顔が目の前に浮かんでくる。長すぎる暗闇の中、抜け出せない日が続いた。だけど今になって、やっと暗闇から抜け出せそうな気がする。僕と君が出会ったこの町も当時の賑わいを取り戻し元気に活動している。僕がやってきた事がやっと形になり始めている。だけど、君との思い出はあの時から止まったままだ。そう、君が浮かべた屈託のない笑顔が、僕が最後に見た君の表情だった……。今になって、僕は君のことを落ち着いて考えられるから、君に最後の返事を書きたい。僕がこの残酷な世界に新しい一歩を歩めるように……。
第一章 最後の君の笑顔
2011年3月11日。僕はいつも、気だるい体を起こし、仕事に向かう。だけど、この日はちょっと違った。その日、君が恥ずかしそうに顔を赤らめながら「今日は早く帰ってきてね。今日は私たちの大切な日だから……」と言った。僕は二つ返事で答えると、君は僕を見上げて屈託のない笑顔を浮かべた。まさに幸せの絶頂だった。この日は付き合ってから2年目の記念日だった。だから、この日だけはいつもより足取りが軽かった。
僕の仕事は行政機関の土木工事を担当している。この日は現場には行かず、事務作業に追われていた。今日はいつもより早く帰れるように仕事を片付ける。しかし、昼の2時40分をまわったあたり、僕は一服しようとイスから立ち上がったその時だった。地面が激しく揺れ、机にある書類やパソコンが全て地面にたたきつけられる。オフィス中に轟音が鳴り響く。僕は机に身を隠しながら、揺れがおさまるのを待っていた。その揺れは長く永遠にも感じられた。やっと揺れがおさまり、机から出るとそこは別世界だった。ありとあらゆるものが散乱し、普段のオフィスかどうか分からないくらいの荒れ放題だった。
「大丈夫か!」「みんな無事か!」などと言葉が飛び交っていた。同僚から「ヲクヤマヒロトは大丈夫か」と声が聞こえたので、僕は「なんとか大丈夫です」と自分が出せる中では、わりと大きい声を上げた。ヲクヤマヒロトとは僕の名前だ。同僚は「良かった」と言った。どうやら聞こえたようだ。
こんな緊急事態でも仕事をしなければならない、行政機関の一員として市民を守るため仕事はやってくる。その時の僕の心境としては、ずっと君のことが心配だった。だけど、電話は当然通じないので、君の無事を祈るしかなかった……。外は雪が降り始めた。世界の終りを語るようにしんしんと雪が積もる。それは世界の儚さを物語るようだった……。
第二章 ここで生きる人々
2018年3月。僕は復興住宅で暮らしていた。集合住宅の1LDKの間取りである。高齢者でもなく当時持家を所有していなかった被災市民なのだが、なぜか入居の審査に受かってしまったのだ。この復興住宅の工事に関わったからなのかも知れない。詳しくはよく分からないのだが、まぁよいだろう。住み心地は悪くない。集合住宅の共助スペースでは、毎日ジジイ体操を行っているらしい。高齢者の健康に配慮した行事のようだ。ただそれだけでなく、なぜか毎日変わった体操を行う変なジジイがいた。いつもは関わらないように過ごしていたのだが、今回は話しかけられてしまった。
「よう! 兄ちゃん元気かい。」と陽気に声をかけられた。ずいぶん騒がしいジジイだなと思っていたら、ジジイは話を続けてきた。
「私の名前はトシロウ。以後よろしく」
「はぁ。私はヲクヤマヒロトです。」
「何だ、若いくせに元気がないな~」
「そうですか」
「元気がないのなら体を動かすことだ。」そう言いながら、トシロウは腕やら腰やらを振り回していた。
「今は何をしているのですか。」と恐る恐る聞いてみた。
「これは私が考案したトシロウ体操だッ! なんだ、知らないのか。」
「いいや、初めて聞きました。」いや~。そんな奇妙な動きができる人は他にいないよな~と思った。
「この復興住宅に入居してからいろいろと調子がよくてな。この集合住宅には毎日のジジイ体操や、入浴などの福祉サービスも充実している。更には洗濯や食堂などもあり、充実した老後を過ごせそうだ。もちろんタタミの間での恒例行事や、閲覧コーナーでの新聞購読も良い一日を過ごすために必要不可欠だな。」と饒舌にしゃべる。
「それにしても元気ですね。」と若干イヤミに話す。
「年寄りは医療費など経費が多いから助かるな。震災では家が流されて、避難所生活をしていた。そのあとは仮設住宅の暮らしだったからな。ここに来てやっと開放的な生活が営める。ここまで来るのに本当に長い時間が掛かった。だからこそ今の生活が、とても嬉しい。だから、毎日の生活が楽しい。」と笑みを浮かべながら話していた。
そして、「兄ちゃん、私の話を聞いてくれてありがとう。」を言い。階段へと向かっていった。
なんだか騒がしいジジイだったな。でもこの復興住宅に満足している住人がいることが、僕には嬉しかった。なんせ、僕もこの復興住宅の工事に関わっているから。まぁ悪い人ではないでしょう。
そんな話を聞いていたのかは分からないが、一人の男が話かけてきた。
「今日はここで仕事上がりだから、これからサカバーに行こうぜ」そう言ったのは、悪友のケンタだった。
第三章 震災復興のサカバー
この復興住宅にはなぜか、喫茶店なのか雀荘なのかよく分からないサカバーが存在する。この店はナヲキという天然パーマの中年男性が店主であった。この店にハーン原人も良く訪れるらしい。
「ナヲキさーん。おすすめのお酒下さ~い。」そう言ったのはケンタだった。ケンタは僕の昔にカスやっていた時代の仲間だ。今は集合住宅の支援スタッフをしている。もともとは別の仕事をしていたのだが、東日本大震災の影響で、そののちに解雇となってしまった。その後は様々な職で生活を維持する。そんな中で、僕は知り合いの福祉の仕事を紹介した。この復興住宅の入居が始まってからは、集合住宅の支援スタッフとして仕事をしている。
「はい! 今日のおすすめはカイローン酒とラグナロクロックですな。」と言って怪しいお酒を持ってきた。この店には怪しいメニューが多い、中二病的な名前のお酒だけでなく、イカスミメロンや焼きメロンといったメロンを使ったメニューも充実している。果たしてこのメニューがおいしいのかどうかは不明だ。
「はー。この酒うまいな!」とケンタは言った。ケンタはカイローン酒を飲んでいる。だから、僕はラグナロクロックを飲んだ。
「お前はずいぶん大人しくなったな。昔は自らのゲロにダイブしたというのに」とケンタは笑って言った。
「それはまたずいぶんと昔の話だな。もう十年以上も昔の話だぞ。」
「それはそうと、ヲサダは結婚するんだってな。」
「その話は聞いたよ。あいつやっと結婚するのか、もう付き合って八年ぐらいだろう。」
「だから、お前はどうなんだよ」
「なにが」
「お前も新しい彼女を見つけたら、どうだってことだよ」
「!!」
「昔の彼女を忘れろとは言わないけど、お前だって進まなきゃいけないことぐらい分かっているだろ。」
「…………」
「昔は、女を何人も遊んだくせに……」
「もう、昔とは違う。だから、僕は他の女とは遊ばない」
「昔とは違うか……」そう言ってケンタはタバコに火をつけた。
「お前もいるか」と僕に尋ねる。
「タバコは止めた。僕だって少しずつ変わり始めてる。ただ一気には変われないだけだ。」
「そうか、分かったよ。もう何も言わない。」
「まぁ、なんだかんだありがとう。やっぱり気持ちが折れなかったのはお前のようなヤツがいたからなんだな。」
「今更何言っている。昔にカスやった仲間じゃないか」
「そうだな、ありがとう。最高のバカ」
「なんだとー」とケンタは怒っていたが気にはしなかった。僕の生きた道にケンタみたいなヤツがいて、こんなヤツらでも支えあっているんだなと実感できる。それが、生きているってことなんだろうか。なんか最近になっていろいろ考える事がある。でも、こんなでも人生なのだから、生きている価値はあるだろう。なんか、そんな気がする一日だった。
第四章 エターナル・レジデント
「ハーン!」と声が聞こえる。目の前にハーン原人が横切る。ハーン原人はハーン! と叫ぶよくわからない2m級の巨人である。それ以外は一切不明である。そんな感じで、僕たちは生きている。たいして重要な意味を持たないまま。それもまた人生である。僕が君と会えなくなった。あの雪の日からもう9年がたとうとしている。幸せの絶頂から絶望にたたき落とされたその日から、僕は心の片隅でずっと思っている事がある。君はいつの日か僕の前に現れて、あの日のような屈託のない笑顔を浮かべてくれると……。しかし、その日は一向に来なかった。永遠に行方不明のままだ。僕は、あの日から君との再会を信じて待ち続けた。だけど、一日、また一日が経過して、とうとう14日を超えてしまった。君へのプロポーズの言葉はずっと胸に抱えたままで、僕は待ち続けていた……。それからは震災関係の仕事で忙しくなった。だから僕は悲しみから逃げるように、仕事に明け暮れた。朝から夜まで働き続けた。この復興住宅だってそうだ。この復興住宅完成のため僕は一生懸命に働いた。君はもういない……だけどやっと落ち着いて考えられるようになった。一生懸命働いたのは君への贖罪のためかもしれない。だけど、僕はこの復興住宅の住民や市民のため、よりよい町のために働き続ける。そのことが僕の生きがいになっていた。その仕事が市民の役に立っていることが嬉しい。だから僕はこの町で生き続ける。僕と君が出会ったこの町で……。完。
イノセンス~Innocence~
世界観
場所は宮城県名取市である。
時系列的には2018年3月を想定している。
東日本大震災の発生は2011年3月11日である。
復興住宅の入居は2016年の9月頃からの開始であった。
復興住宅の竣工は2016年の6月頃である。
2018年3月の時点で東日本大震災の発生から7年経過している。
復興住宅の入居から1年と半年である。
復興住宅は名取市下増田地区の復興計画として設計された復興住宅。
名取市下増田地区の被災市民は名取市杉ヶ袋地区の復興住宅へ入居可能ということになっている。
そのことから名取市下増田地区の被災市民が杉ヶ袋地区の復興住宅に入居したという物語となっている。
ヲクヤマヒロトは2011年6月から2016年5月までゲストハウスで暮らしていた。ゲストハウスなのになぜか賃貸として生活していた。 ヲクヤマヒロトは2018年3月では30歳である。2011年3月11日時点は23歳であった。 東日本大震災で、最愛の人が行方不明になっており、絶望の被災者となっていた。非公式設定ではロリコンとなっている。ゲストハウス時代はロリの小女を追いかけていたり眺めていた。かつては喫煙者であったが、2016年以降禁煙している。 東日本大震災以前は行政機関の土木工事の仕事をしていた。そのため杉ケ袋の復興住宅にも関わっている。学生時代はカスな時代を過ごしており、ケンタなどの仲間とカスに生きていた。
2011年6月から2016年5月まで名取駅周辺のゲストハウスで暮らしながら、東日本大震災の復旧作業に明け暮れていた。
現在は過去との決着はついており、これからもより良い街にすべく復興業務を行っている。そのことに生きがいを感じていた。ハーン原人とは長い付き合いである。
ジジイの名はトシロウ。トシロウは毎日トシロウ体操を行っている。自ら考案したトシロウ体操を行ったり、健康活動のため、集合住宅の共助スペースで行われているジジイ体操を行っている。これがのちヲクヤマヒロトと出会い、被災市民の現状を説明する。(あまりよく知らないのでイメージです)。
ジジイ体操やトシロウ体操を行う集合住宅の住人。2018年3月時点で65歳である。2011年3月の時点は57歳であった。震災時における時期の避難生活や、医療費などの経費問題、健康状態の問題などを話している。この集合住宅での支援生活をとてもありがたく思っている。だがしかし、健康で騒がしいジジイなのは間違いない!
ケンタは過去のヲクヤマヒロトを知る人物の一人である。かつてカスだった時代の仲間、悪友である。ヲクヤマヒロトの仕事や被災状況なども知っている人物。現在心の許せる仲間である。ケンタは復興住宅のスタッフとして働いている。
ケンタは集合住宅の支援スタッフである。2018年3月時点での年齢はヲクヤマヒロトと同じ30歳である。2011年3月11日の時は23歳であった。かつては別の仕事をしていたが、東日本大震災の影響により、2012年頃に解雇となった。それから様々な職を経て生活を立てる。ヲクヤマヒロトの誘いもあり福祉の仕事に就くこととなった。その後、復興住宅の支援スタッフとなる。
ケンタはヲクヤマヒロトの昔の仲間であり、ヲクヤマヒロトとともにカスやっていた。そのことからヲクヤマヒロトのことをよく知っている人物である。ヲクヤマヒロトの仕事や被災状況のことも知っており、ヲクヤマヒロトの心を開ける仲間である。
ナヲキは喫茶店の店主をしている。喫茶店はヲクヤマヒロトやケンタが利用する。裏コミニティ的な存在。天然パーマ。
ナヲキは喫茶店の店主である。年齢不詳(推定37歳)。2018年3月時点。
その喫茶店にはヲクヤマヒロトやケンタなどがよく会合に利用する店である。ナヲキ自身も地震の被災者でありながら詳しい事情は不明である。その喫茶店には珍しいメニューが存在する。カイローン酒やラグナロクロックなど中二病くさい名前のものや、イカスミメロンや焼きメロンなどメロンを使ったメニューも充実している。
天然パーマであり、怪しい雰囲気が漂う。この店はなぜか、喫茶店でありながら、雀荘として使われ、サカバーとしても営業している。まぁ何でもアリの店である。この店にはハーン原人もよく訪れるらしい。
ハーン原人はハーンとしゃべる人。ヒラクとも呼ばれる。謎の住人(最後まで謎のまま)。ハーン原人とは、ハーン!と叫ぶよくわからない2m級の巨人である。それ以外の情報は不明である。果たして、登場するのか……。
ヲサダはケンタと同じ昔ヲクヤマヒロトとカスやっていた時代の仲間、3人で活動していた。