路地裏から見てる
あいつはいつもこの時間に、ここを通る。
黒いスーツ、黒いコートを着ている、普通のサラリーマンだ。何も特別なことはない。と、思う。たぶん。いや、絶対に。
でも、それじゃあおもしろくない。何ごとも設定が大事なのだ。やつはソ連が送り込んできたスパイかもしれないし、地下に広大な基地をもつ秘密組織の一員なのかもしれない。僕はそれを知っている、ただ唯一の人間だ。だから、いつもこっそり監視している。
夜18時半。ピタリ。やっぱりこの時間だ。
僕はいつもの時間にいつもの監視活動を終えると、安心して家路につく。今日もあいつは定時だった。同じような服を着て歩いて行った。そこから先は、追わない。あばかれない謎の方が楽しいこともあるのを、僕は知ってる。
絶対にあいつは世界の何かを握っている。と、思う。
だから僕には監視を続ける義務があるのだ。
そんな場所ではないかと思った。
路地裏から見てる
とりあえず書いてみました。どういうふうに表示されるのかのテストも兼ねて。