鑑賞記録-新春劇読LIVE2 江戸川乱歩「悪鬼の島」より
四ツ谷にある絵本塾ホールにて観劇。
四面純白が煌々たる壁で囲まれたやや広めのボックス空間に、客席が並列。対面するアクトエリアには白色のパイプ椅子が十数脚、散在するよう無造作に配置される。リーディングを基調とする公演ながら、江戸川乱歩の奇天烈な文学世界をしかと想像させるべく、衣裳や音響・照明といった僅かな効果を除いては身一つで役者たちが立ちまわる。まがいなりにも“声優”として声を売り物に掲げる諸氏であるから、さすが(とは無礼千万ながら)表層の字面を深々掘り下げ、立体的に物語る力量は確かだ。作中、ダイアローグもすべて自己表現のルール枠内(現実的に話者同士が顔を見合わせることなく客席正面を向いたまま芝居する、よくある手法)へ納める策が功を奏したか、煩わしい表現の質どうのこうのの観点に捉われることもなく、順当に江戸川乱歩の物語を愉しむことができた。また、生音で随所へ添えられたエレキギターの音が霞みがかったミステリアスな雰囲気を助長していて大変気に入った。
鑑賞記録-新春劇読LIVE2 江戸川乱歩「悪鬼の島」より