訳が分からないもの

ドクドク

腹が立ってくるというか、情けなくてしゃあないというか。
イライラして居ても立っても居られないというか。むかついて、心臓がえぐられそうになるような。

もぎとられるような。引きちぎられるような。かき乱されるような。
じっとしていても、涙があふれ出してきそうな。瞬間がある。

もう、年齢も重ねたからそういった不安定な事はないだろうと思っていた。
でも、もう何度も。繰り返し起こるこの衝動に。頭では途方に暮れてるのに、イメージは止まらない。
ひどくなっていくばかりで、もういかんともしがたいとはこういう事だろう。

悲しさとか虚しさに拍車がかかって止められへん。
苛苛とかモヤモヤとしたものが止まってくれへん。

絶対にゆうたらあかん言葉を。

ゆうてしまったら人を貶めて、苦しめて、傷つけてしまう言葉を言ってしまいたくなる瞬間がある。
ゆいたいと思っているわけじゃないけど、やっぱりどこかで傷ついてしまえと思ってるんやと思う。


私は昔から天邪鬼で、人が良いと思ってるものを良いと言いたくなかった。
それがどんなに良いもので、最高やったとしてもその瞬間は言いたくなかった。
全部が全部そんな瞬間じゃなかったけど、時折病気みたいに発症する。

確かに、脳みその天井みたいなところから汚いドロドロしたものが垂れてきて、うわ…垂れてきてるって思う。
でも、垂れてきてるのを感じながらそれが流れるのをただ思うだけ。

人の幸せを素直に笑えるような人間だと思ってたけど、どうやらそうではないみたい。
苦しんでる人を笑うという大げさなことではないけれど、人の幸せを心の底から祝える人間でない瞬間がある。
終わってると思う。人間として死んでるとさえ思うことがある。

たぶん 幸せになれへんのんちゃうかって思う。

絶対にゆうたり、絶対にしたらあかんことをしてしまいたいと思ってしまう瞬間がある。

ホルモンのせいやろか。女性ホルモンってこんなに自分の人間性まで疑いにかかってしまうほど恐ろしいんやろうか。

そんやったら女の人はすごいと思う。
ホルモンのバランスひとつで自意識が崩壊しそうになってしまうんやから。
こんなことが毎月おこるんやったら、私はもう女でなくなってしまいたいよ。


この病気になった時、いつも思い出すのはダンスのこと。
ライブハウス、鳴りやまない音楽に人はダンスを踊る。
ダンスでなくて、揺れるだけのこともある。
隣の人がビートを刻む。周りの人が揺れだす。
のってんのかのってへんのんかただ揺れてんのか揺れてへんのかはっきりせんようなダンスを踊る。
女のDJが音を鳴らす。男は体を揺らす。
なんかいやらしいもんを見せられてるような気になる。
セックスやんかって思う。そんな気分になる。
私はその瞬間、脳天をかち割られる気分になるんや。


自意識の海の中、死んだ魚の目をした私は白目をむく。

踊りを踊ることができない。
人が良いといえばいうほど、遠くなっていく音楽。
楽しむことができない。
なんで楽しめないのかはわからない。
全部が全部そうじゃない。
たとえば、友達がいたら音楽もスッと入ってくる。
一人だとひたすらの自意識との戦いだ。
動きたい。動けない。動きたいけどこの動きってなんか…。でも、そんなん関係ないやんか。ああ、踊れない。踊るってなんや。

一人、涙でにじんだ帰り道を思い出してしまう。
踊られへんと泣いてしまうのはなぜだろう。
第一そこまで踊りに固執する私は何者なんや。

考えすぎやろうとかそんなに考えてるなんてあほとちゃうかとか気持ち悪いとかそんな風に思われてる気がする。
夜風さえ私を笑ってるような気になる。


人から気にしすぎやとか、卑屈やとかネガティブやとかゆわれる。
うっさいねんって思う。人のお手本みたいなことゆうてくれるなよと思う。
こうであるべきなんて、決められたくない。
私はそうですかって笑ってるけど、自分で知ってる。
どうなりたいかとか、どうありたいかとか
どういう人が好かれるかとか。
そういうことはとうの昔から、生まれる前から知ってるねん。
ゆわれんでも。
なかなかうまくいかんことが多いだけ。


情けないような悔しいような恥ずかしいような

そんな気持ちをしたくないのに、この病気はいつも突然やってくる。


最近、また不順になってるからやろうか。
特にひどい。


こんな文を書くのは、恥ずかしいことなんやろうか。
情けないことなんやろうか。

人は何で文章を書くんやろうか。

わからない。
答えが見えない。

訳が分からないもの

訳が分からないもの

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-24

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