作業現場

作業現場

 眠い。もう限界だ。

 大学一年の夏、農機具工場でバイトをした。
 鉄の棒に機械で穴を開けるという単調作業だった。

 その日、仲間との夜遊びが響き眠くて仕方が無かった。
 手を動かしながらも視界が急激に狭くなった。
  
「危ねえぞ!」 
 班長の怒声が俺を眠りから引き戻す。
「寝惚けながらやってると大怪我するぞ!」 
 顔を洗って来いと命じられた。
 
 休憩時間、班長にふて腐れながらも謝罪した。
「もういいって。指に穴が開かなくてよかったさ」 
「そんなおおげさな」
 班長が俺を脅すために言ったのかと思った。
「そうでもないぞ、事故で指が無い人もいるんだから」
「え? 指を無くした人がいるんですか?」
「おうよ、ほら、まず雅さん、井島さん、あとあの人とそれから・・・」
 
 班長が声をかけてくれるが遅れたら今頃――。
 気がつくと膝がガクガクと震え出していた。
 (了)

作業現場

作業現場

眠い。もう限界だ。 手を動かしながらも視界が急激に狭くなった。 その日、バイト気分の俺は自分の甘さを思いしらされた――。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-23

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