社長なんて

社長なんて

「で、話ってなんだ?」
 いつもの居酒屋で同期の真田と飲んでいた。
「実はビックリさせたい話がある」
 真田が二ヤリと笑った。
「子会社社長を、希望する若手社員から選ぶって話は知ってるな?」
「ああ」
「応募して最終選考に残った」
「えっ!」
 真田は確かに仕事ができるが、まさか社長とは――。 
 驚く俺の様子に真田は満足気だった。
「今日人事部長が漏らしてくれた。九分九厘決まりだ」
 勝ち誇ったような顔で真田は続けた。
「やっぱり男はさ、頂点を目指すべきだろ?」

 数日後、子会社社長が発表された。
 しかしそれは真田ではなく、彼の元部下の高松だった。

 その夜、居酒屋で俺は真田の悪酔いにつき合わされていた。 
「社長なんてさ、想像するより給料安いんだぜ。
 責任ばかり重くて、いいことなんてないんだ。
 だいだい社長なんて・・・・・・」
 真田の話はその後も、延々と嫌になるほど続いた。
(了)

社長なんて

社長なんて

「で、話ってなんだ?」 いつもの居酒屋で同期の真田と飲んでいた。 「実はビックリさせたい話がある」 真田が二ヤリと笑った――。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-22

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