悪役メイドさん

悪役メイドさん

前に別のサイトで書いていたものです。
少しだけ読みやすく変えました。

はっきりいってちゃんとしたモンじゃありません。

①メイドさんの苦労


ピー、ピー、ピー、ピッ

ガチャ


「おいしそう…じゃない…」


紫、黄緑、黒が混じった物体を、
黒髪ショートヘアのメイド・ヨモギは
オーブンから天板とともに素手で取り出した。これが、クッキー。


そして、これが紅茶。
90度に傾けても10秒くらいは、食品サンプルのように動かない
灰色のどろどろが紅茶。


まったく、あのお嬢様はとんでもない物を召し上がる。
こんなにひどい見た目なら、毒をまぜたって気づかれないんじゃないか?

ヨモギは、かわいいお皿とお盆にクッキーと紅茶をのせて、
午後の担当メイドに渡す。


「お疲れですっ、ヨモギさん!」


ニコニコしながら今日の午後担当・ルルは受け取った。
耳のあたりから2本の茶髪しっぽが揺れている。
今日はツインテールか…。



「それじゃあ後はよろしくね」


この人とはなるべく関わりたくない。
やたらと人にかかわってくる。


私の事を勝手に敵視して、探っている。


「今日はどこいくんですかっ?」


ドアノブに力を入れようとした時、話しかけられた。


「いや、別にどこも…もう良い?」

「は、はい…」


ルルさんの悲しそうなお顔が見えた。


「じゃあ」


ガチャン。


数秒後、入れ替わりでルルがいる部屋に執事が入った。
どうせベタつきあうんだろう、偽善者どうしで。


『またアイツに何か言われたの?』
ため息まじりに執事。
『ううん、大丈夫…』
と、泣きそうなルル。
『そうそう、大丈夫だよ』
『…』
『アイツから俺が守ってあげるから』
『……ありがと』


耳がよすぎるのも困る。


聞こえてるよ、まったく トリハダが立つ。
早くあの部屋から遠ざかりたい…。

②メイドさんのお家

『悪役募集中!!!』


真っ黒のでかい看板に白いペンキで書いてある。


悪役ギルド本部…
それはこの世のあらゆる影が入り口となっている…

わけではない。


私たち悪役は、数年前に勇者ナントカに旧魔王城はほろぼされ…
この大陸の片隅の片隅のゴミ埋め立て地に立てられた
小ぢんまりとしたせいぜいお屋敷と呼べる場所に住んでいる…。


そう、今この大陸中に正義の心があふれているのだ!
それもただの正義ではなく、
誰もが見返りを求める、偽の正義ばかり。
なんとおぞましいことだ。


魔王率いる悪役ギルドは、大陸征服や勇者への復習なんかを
目標にしてはいない。

偽の正義の心を持つ者…偽善者達をほろぼし、
本物の正義や思いやりのある世界を取り戻すことだ。


「は~…やっとついた」


ヨモギは正面の扉から屋敷に入り、あれこれあんな感じで
暇を持て余した悪役達が集まるパーティ会場にたどり付いた。


「それでさぁ、どうだったと思う?」

真っ黒で胸と背中がかなり見えるセクシーなドレスに
頭と同じくらいの大きさでS字に曲がった角が左右に付いた
金髪のおだんごヘアーの女性が、
椅子に座ってテーブルに肘をついている。


「店主が死んでたとか?」

向かいに座るピエロの格好をした少年は、
皿に乗ったベイクドポテトをフォークでぐっちゃぐっちゃいじりながら
答えた。


「はあ、違うわよ 食パンがね、食パンが売ってなかったのよ」

ドレスの女性は苛立たしげに長い赤い爪で
少年ピエロの顔をひっかくふりをした。


「そりゃ残念だね」

メイクこそ笑っているが、無表情でパクつく少年ピエロ。


「だからクロワッサン2個で105円のを買ってきたわよ」

と、女性。

また、

「ぼったくりよ…」

と小さくため息をついた。


「お待たせー姉さん今日も綺麗だねぇ」

このパーティ会場…レストランのような物だが
そこで働く同じく悪役のギルドのウエイターが、ドレスの女性に料理を運んで来た。

ウインク付き。

「あら、もう、ふふ」


とまあ、悪役ギルド本部とはこのような場所だ…。
建物こそ前の城より狭いが、まだまだ食べ物に困るほどではない。

「ただいま~」

ドレスの女性とピエロ少年の席にメイド姿のヨモギは座った。

③メイドさんの仲間

「あ、おか」

ピエロ少年…名前はコーン・ポタージュ…が言う。


「ああ、メイド おかえりぃ~」

イケメンウエイターとの話を終え、顔がにやけているドレスの女性。
名前はブルーベリー・ストロベリー…一応このチームのリーダーだ。


「どうだったぁ?今日のお仕事は」

と、ブルーベリー・ストロベリー。


「そろそろほんとバレそう…あの2人さえ居なければなぁー」

ヨモギはとある2人を思い浮かべた。
あのゲテモノファミリーの屋敷で働くメイドと執事。


「ああ、ルルと…えっと…ウンチャラカンチャラってやつ」


ピエロのコーンポタージュ少年は
最後の一口のベイクドポテトを刺したフォークを杖のように弄びながら言った。


「ふふ、だからそのウンチャラカンチャラってなによ」

と、ブルーベリー・ストロベリー。

ヨモギはふんわぁり笑いながら言った。

「ええと…名前は…えー…忘れた!」



その執事の名前はとんでもなく長く、めんどくさく
覚えにくく、執事の名前を呼ぶ人は
見たことが無いという事だけは覚えている…。

まぁ、私にとってはどうでもいい事だ。
ヨモギは薄暗いパーティ会場の暗さと
ほどよいざわつきに誘われ、
テーブルに伏せてしばらくして、眠りに落ちた。

④メイドさんの苛立ち

翌日。


スパイメイドのヨモギは今日も、ゲロリア嬢の家である
ゲテモノファミリーのお屋敷に出勤した。


ゲロリア嬢とは、ゲテモノファミリーの一人娘で
自称『世界一ボランティア精神のあるお嬢様』だ。


実際、この大陸で一番ボランティアにお金を費やしているのは
ゲロリア嬢だ。(と雑誌に書いてあった)


魔法の代償で体を失った人や、戦地となった地域の人々や
親に捨てられた子供たちを保護している
各地の教会の修道女や神父達には支援せず…

必ずテレビカメラの前で募金箱に大量の金を入れる。


だから、ボランティアのゲロリアお嬢様という名前だけ有名になっていく。
今やボランティアの代表と言ったらゲロリア嬢。


ほとんどの人は、その修道女や神父達に目もくれず…


「おはようございますぅ、ヨモギさん…」

顔色をうかがうメイドのルル。


今日は同じ時間帯か…。
ヨモギは心の中で大いにため息をついた。


「おはようございます…」

挨拶を済ますと話かけられないよう
すぐ仕事に取り掛かった。


「あの…ヨモギさん」

グロリアお嬢様のお菓子
(干しガエルと5年モノの卵
 そしてとある蟲をきざんでトッピングしたタルト)
を作っているルルは言ってきた。


「何ですか?」

と、面倒くさそうにヨモギ。


「あなた…なんで私の命を狙うの?」

と、突然ルルは言った。


「……はい?」

何言ってるんだ、こいつ…


「とぼけないで下さいっ!私、知ってるんですよ?」

何かを腰から抜き、構えるルル。
銀製の杖だ。
棒の先に青い宝石が埋め込まれている。


「あなた……魔王の手下でしょ……?」

ルルはこちらを睨んでいる。


「はあ…でも別にルルさんを殺そうとは…」

ああ、もう良いや。認めても


ルルは物足りなそうにヨモギを見ている。
屋敷に忍び込む悪役を見破って
いい気分になりたかったのだろう。

「嘘です!」

いっそうルルは睨んでくる。

……すごく面倒くさい…。


「じゃあ私がなぜルルさんを狙おうとするんですか?」

そう、これがずっと聞きたかったことだ。


ずっとと言っても、この屋敷で働く事になったのは
ほんの1週間弱前だが。

すると、ルルは言い返せず


「…いいから早く本当の姿を現しなさいっ!!」

と叫んだ。


「………」

良く聞き取れない言葉。
杖を握りながらのろのろ魔法を唱えているらしい。


ああ、もう、攻撃していい?
攻撃していいよね…?
…しよう。


ドッ!!!

狭い部屋中に低い音が響いた。


ぱらぱらと壁はところどころひび割れ、崩れ
埃が舞った。



ああ、もうこれでスパイは台無しね。


「やっぱり…あ…悪魔っ!!!」

ルルはがたがたしながら目の前のナイフを
見ていた。


「私は悪魔じゃないよ、ただの人間」

と、ヨモギ。

首に付き立てたナイフと反対の手で手を横に振って
否定するジェスチャーをして笑った。


フッ……


一瞬、空気の流れが変わった。
たった一瞬。


そしてつぎの瞬間

ガンッ!!
後頭部をなぐられた。

そして、後ろにぐいっと引きずられ、
投げ飛ばされる。


「大丈夫か?ルル」

やさしい声が聞こえた。
あの執事だろう。


「うん……!!」

執事はルルを抱き起こした。


「とどめを刺そう…どうしたの?」

と、執事


「ぐすっ…うれしい……」

泣くルル。


ヨモギは立ち上がろうにも、
見えない力に押さえつけられて動けない。


「ほら、泣かないで…一緒に倒そ?」

執事とルルは手をつなぐ。


そして2人は魔法を唱え、白い光がヨモギの全身を引き裂いた。


「正義は勝つのよっ…!!」

ルルはうれしそうにこちらに向かって言った。


消えゆく意識の中で、
ヨモギは言ってやりたかった。


勝ったのは正義じゃなく人数よ……。

⑤メイドさんの目覚め

………はっ!!!


首もとの冷たさに目を覚ました。

首かせ…
床も冷たく、部屋の中は暗い。
窓からはかすかに星の光が射している。


ここはゲテモノ屋敷の牢獄だろう。

ヨモギはゆっくりと体を起こした。
ばらばらにされたはずの体も、メイド服も元通りになっている。


「目が覚めたか、我がチームのメイドちゃん」

獣のような低い男の声。


「…サンダー?」

ヨモギは声のする方向に言った。


「ああそうさ」

ググルルルと喉を鳴らしながら男は答えた。


ブラック・サンダー
それがこの男の名前だ。
決してあのおいしいお菓子ではなく。
4人いるヨモギのチームの一人。


昼はただのイカツいおっさん雷魔術師。

夜は闇に溶けてしまうほど真っ黒な毛の獣になる。
だからブラック・サンダーと言う。

決してあのお菓子ではなくだ。


「サンダー、直してくれたの?」

と、ヨモギ。


「ああそうさ」

ブラック・サンダーはまた答えた。


「ありがとう…便利だねぇ、魔術師は」

ヨモギは見えない仲間にお礼を言った。


「なぁに、毎日この牢獄にウマいモノを持ってきてくれたお礼だよ」

ブラック・サンダーは笑った。


「ほんとにね」

ヨモギもつられて笑った。


ブラック・サンダーはヨモギがこのゲテモノファミリーの屋敷に入る
少し前に乗り込んだ。

たった一人の娘を殺すんだろ、俺だけで十分だ!
彼はこう言ってひとり、襲撃しに行った。

万が一捕まってもブラック・サンダーならすぐに檻を壊して
脱出出来るので、チームの誰も止めなかった。

そして捕まった。
なにせ彼は一番足が遅いので、
この牢獄で待機することになった。


「もう少ししたらピエロと姉さんが来るだろ」

フンと真っ黒い獣のブラック・サンダーは息を吐いた。

「それまではゆっくり休め」

「うん、そうだね…」

⑥メイドさんの朝

キィ……


ドアが開く音でまた目が覚めた。


「ああ、ごめん 起こした」

大人の女性の声。


「姉さん…?」

ヨモギは眠い目を一生懸命にぱちぱちさせながら
相手を認識しようとした。



「そうだよぉ~ほら、おきろ、オッサン!」

ギイィィッ ペチン!
という音がした。


「いてっ!!あっ!!お早うございます!」

向こう側の檻がぐにゃぁっと曲がっていた。
さっきのはドアを開ける音じゃなくて
檻を曲げる音だったのか…。


ヨモギはゆっくり立ち上がって、
スカートに付いたホコリをぱんぱんと払った。


立つと、向こうの檻には、
真っ黒の獣ではなく、人のよさそうな
魔術師の格好をしたイカツいオッサンがいた。


「まったくあなたたち、なぁんでそうすぐに手が出るかねぇ」

両手を腰に手を当てて説教を始めるブルーベリー・ストロベリー。
こりゃ、10分は続くな。


「それだから合コンで悪役ってだけで嫌われるのよ…あああーっ」

それに、最初の1分こそちゃんとした説教だが
残りの9分はたいてい、どうでもいい話だ。


ドドドドド!!!


少し遠くで建物が壊れる音がした。
人の叫び声もする。


「あはははは!!」

甲高い少年の笑い声も聞こえた。


ドォン!!


ガラガラ…
ドドドドド…


攻撃は止まない。



「あいつ…おとなしくしてろって言ったのに~…」

と、ため息混じりにブルーベリー・ストロベリー。


「姉さん、俺も行って来て良いッスか?」

鼻息を荒くしながらブラック・サンダーが言う。


「ああ、行って来な~」


「じゃあ私も_ 」

ヨモギも後に続こうとする。


しかし、ブルーベリー・ストロベリーを横切った時
メイド服の首後ろをつかまれた。

「ぐぇ、おえ、ゴホッ」


「ヨモギはまだだ~め」

後ろに引き戻され、座らされた。
その横にぺたんとブルーベリー・ストロベリーも座った。


「まあまあ、たまには戦略的に行きましょうよ」

⑦メイドさんとメイドさん

メイドのヨモギは、客室の窓辺で、
屋敷を壊し暴れまくるピエロ少年、コーン・ポタージュ
の動きを見ていた。


人の気配がゆっくり、ゆっくり近づいてくる。
どうせあのメイドだろうなぁ。


ドォ!!


部屋中の空気が湿っぽくなった次の瞬間に、
沢山の水の音がした。

向こう側から水の塊が飛んでくる。


ピュ

ヨモギが何かを投げる微かな音の後に、水の塊はそのままヨモギに向かう。


ざあぁぁあっ

という音で、塊にぽっかりどドーナツのような穴が開いて、
ヨモギを濡らさずそのまま壁に当たった。


ぴたぴた水が落ちる音のみで静寂が訪れた。
外はものすごくうるさいが。


ドアは開いていたが、そこには人は居なかった。
その隣の壁の向こうに居るのだろう。


「正々堂々と勝負するのが正義なんじゃないの~?」

と、にやにや笑いながらヨモギ。


しばらくしてから、壁から声がした。

「あんた達だって卑怯な手を使ってくるでしょ…」


「そうかな…?これじゃ、どっちも変わらないと思うけど…」



「……」

何秒か後に、ルルがゆっくりとドアの前に出てきた。


「ばあーか」

と、ヨモギ。


ピュ!

また微かに風を切る音。


ピシ!!!と鳴って、ルルの杖に埋め込まれた宝石が割れた。
…と言うよりも、射抜かれた…ドーナツ状に。


「……ッ!?」

こちらを睨んでいたルルはまた素早く壁に隠れた。


「卑怯者!!!」

ルルの声は震えている。


「悪役の言うことを信じるのが悪いんですよ」

「クソ……あんた、何なの」


「わたしは
(カチャ)

壁の向こうから金属の音がした。

拳銃か。



…その頃…


ズシン ズシン!


毛深いカーペットの廊下を、ガニ股で歩く
魔術師 ブラック・サンダー。

最上階の大きな扉を開ける…。
ギィ…

その向こうには、とんでもない異臭がした。


「あら……いらっしゃいっ!!!」

フランス人形のような服を着た、まっ白髪の

……オバサンが居た。


ピシャーーン!!
と、ブラック・サンダーの頭の中で稲妻が走った。


(お嬢様って…お嬢様って……)


「ええっ、私がそんなに美しいって?まあ、ふふ」

ゲロリアは両手でほおを押さえて赤面した。


「いや、あの……」

「さあさ、もっとこっちへ お見合いなんて久しぶりだわ」

⑧メイドさんの本気

(こちらはルル目線です。)


バッ!!とルルは飛び出し、部屋の中に4発玉を打ち込んだ。

しかし、その音は


ドォッ!!

という轟音にかき消された。


銃弾を打ち込んだ部屋の中は、ホコリ…いや、煙で満ちていた。
その煙は勢いよく部屋の外に居るルルをも包んだ。


ひやり。

まただ。
この煙…そして、目の前にいつの間にかあるナイフのような物。


「また同じ技に掛かったの?」

昨日と同じようにやはりナイフの持ち手はヨモギだった。


「………」

ルルは口をわずかに開けた。
すると、ヨモギは驚いたような顔をしている…


「体が……」

目だけをぎょろぎょろ動かすヨモギ。


「ふふふ…魔法を仕掛けておいて良かった!!」

うれしそうに笑い始めるルル。


「2度も同じ技にかかるわけないじゃないですかぁ
    ほんとに哀れです…この石化魔法に掛かったヒトは」

焦るヨモギの顔をくすくす笑いながらヨモギは腰から新しい杖を引き抜いた。


「悪を滅ぼせぇ…!!」

ルルは杖をヨモギに向け、白い光の魔法を放った。



煙が薄くなり、やがてすべてが見えるようになった。
ルルは立ち尽くし、顔をひきつらせていた。


目の前には、粉々になった石造が倒れている…
そして、窓のそばにはヨモギが立っていた。


「悪を滅ぼせ!!だって…ぷ」

笑いをこらえるヨモギ。

ヨモギの手にある”くない”のわっかに人差し指をはめて
くるくるさせながら弄んでいる。


「な、何で……」

ルルは我に返り、壁に隠れた。


「わたしは…忍者っていう職業なのよ」

と、ヨモギ。

「日本ってところの」

と付け足した。


今までで一番低い声でルルは言った。

「…なんで…こんなヤツらに…」
    

「今度は壁ごと頭をドーナツにしてあげようか?」

ヨモギはこっちを見て笑った。

⑨メイドさんとピエロ

「あー、暇だなあ」

ピエロ姿の少年は、空を舞いながらつぶやいた。


「誰かこないかなあーあー」

ちらっとぼこぼこの建物を見ると、
2階あたりではヨモギとルルとかいうメイドが戦っている。
…もう勝敗は決まっているらしいが。


最上階では、ブラックサンダーと…誰?
やたら真っ白いよぼよぼのオバサンが茶を飲んでいた。

何やってんだあいつ。


リーダーのブルーベリー・ストロベリーは…見当たらない。
何をしているんだろうか。


すると、屋敷から30本近くの白い矢が飛んできた。


「やっと来た」

コーン・ポタージュは嬉しそうな声を出した。


矢の勢いを殺すために、ボールを矢に放つ。


ボウ!!!

矢の勢いは消えた。
しかし矢はいっそう白い光を放ち爆発した。


その光の中から1本 残った矢がまっすぐ向かってくる。
矢を避けると、後ろに黒い影が少し見えた。


ヴァン!!と、風を切る音。


コーン・ポタージュはとっさに3色の玉を横に投げる。

玉はすべて振りかざされる矢に当たり、
速さがにぶるうちに攻撃をさっと避けた。


「危ないなあ、ウンチャラカンチャラ」

光の矢を握る執事を見上げながら言った。


「やるじゃん」

と、余裕の表情でにこにこする執事。


執事の手にある光の矢は、形を変え長剣に変わった。

「オイロケ悪魔を始末してたら遅くなってしまいましたよ」

執事はさわやかな微笑を絶やさずに。



「はあ、何言ってんの」

コーン・ポタージュはメイクの下で顔を歪めた。


「俺は子供は殺したくないんだけど…」

執事笑顔を絶やさぬまま、こまったような顔をして見せた。
しかし、体は思い切り剣をふり上げている。


ザシュ

また剣の刃に3色の玉。


「ばかにしてるの?うざ」

と、コーン・ポタージュは言葉を吐いた。


「馬鹿にされるのがピエロの仕事でしょ」

執事は笑う。

「本気出しなよ」

執事は刃にくっついたボールでジャグリングをし始めた。


「言われなくても」

コーン・ポタージュは鼻に付けた赤い玉を
親指と人差し指で強く握った。



パン!!

鼻の玉が風船のような音を出して割れ、
中から細かいカラフルな紙ふぶきがひらひら落ちた。


ふわ…と、地面から空気が吹き上がり
執事が上に上げたボールは
執事の手にふたたび戻ってくることは無かった。


「単に屋敷を壊してたわけじゃない」

と、コーン・ポタージュ
その背後の壊れかけの屋敷から
何色ものカラフルなボールが、執事を目掛けて飛んでいく。


あっという間に空はカラフルなボールで埋め尽くされ、
あるボールは爆発、あるボールは当たってへばりつき、
またあるボールは鈍い音を立てて
執事の体にぶつかっては離れ、また執事の方向へ飛ぶ。


「いたたた!!!ちょ やめて」

ボールの飛んでいく中心から声が聞こえる。


ぴと。と、ポケットから赤い鼻のボールを出して
コーン・ポタージュは自分の鼻に付けた。


「うわっ…ひええぇ…ぐは!」

やはり執事の声だ。

赤い鼻を人差し指でトントン と2回つつき
ボールの動きを止めた。


中には、真っ黒な服はカラフルになり、
顔が腫れた執事。


「……え、よわ」

と、ぼそっとつぶやくコーン・ポタージュ。


顔を両手でかばって震える執事は、
事態に気が付き、すぐに笑顔を浮かべだした。
んん゛ん…と咳払いをし、

「なぁんだ、こ、こんなものk


ドドドドド!!

コーン・ポタージュの合図でボールはまた
攻撃し始めた。


「や…やめてっ!!!ごめんっ!!!」

⑩メイドさんの仲間達


「な…七光りよ…俺に力をををををを」

ボールの塊の中から叫び声が聞こえた。
すると、ボールはゴムボールのように
ぼよんと跳ね返されるようになった…。


「あれぇ?てか、何、七光りよ、俺にちからを!!って…クスクス」

コーン・ポタージュは無力となったボール達を退却させ、
言葉通り7色に光る執事を見た。


「そうやって笑っていればいいさ…」

光の中からは普段のさわやかな声。


「え、さっきから何そのセリフ…てか、てか
  七光りってあれ? 親の?七光り?プププププー!!!」

ふわっ…と、光は消え、
七色のベールに包まれた執事が現れた。


「謝っておくなら今のうちだよ」

微笑とともに。


ヒュン!!!

執事の人差し指の先からビームが放たれた。
無音でビームはコーン・ポタージュの帽子の一部を焼き払う。

ヒュン!!ヒュン!!!

余裕そうな顔で執事はビームを打ち続ける。


「あぶな…わ…!!!ふー…」

コーン・ポタージュは危なっかしく
避けまわるしかなかった。



…それから、ビームを避け続けた。


「はぁ…はぁ」

肩で息をするコーン・ポタージュ。
対して執事は笑顔を崩さない。


コーン・ポタージュはよろよろと屋敷の窓に近付き
執事に向き直った。


「この方向に撃ったら、彼女にあたるよ」

精一杯執事を睨む。


その後ろには、窓から壁に座るように倒れ
目を閉じるメイドのルルの姿が見える。


指をこちらに向けたままの執事は、少し考えるようなふりをし、

「そんな使えない女はもう仲間じゃないよ」

と、にっこり笑って言った。


ヒュン!!!

「あ…………やばい」

重力を借り、速度を上げて近付いてくるビームに
コーン・ポタージュは死を覚悟した。



「皆、ごめん…」



光は弾け飛んだ。

真っ黒の毛に包まれた大きな獣の
鋭い爪によって。


グルルル……と、喉を鳴らす音。

「やるじゃん!」

獣はゴワゴワの毛皮を鳴らし、振り返った。
か細い体で大きく息をするぼろぼろのピエロの格好の少年は、
メイクと共に顔もにこっと笑って言った。


「まあな!」

半分、獣がうなる声とともに、
ブラック・サンダーも言う。

「ほれ、乗れ」


気づけば空はすっかり、と言うほどではないが、
暗くなり始めていた。


「タイプのオバサンとお茶してたんじゃないの」

と、コーン・ポタージュ。


「ああ」

ブラック・サンダーはうなる。

「俺はロリコンだ」


「昼になるとなぜか熟女好きになるが」

と、訂正した。

⑪メイドさんと仲間達と


バサッ!!!
屋敷の窓の一室から、大きな黒い影が飛び出した。
無数の何かと共に。


執事はすぐに反応し、ビームを飛ばした。


しかし影の主は何かを操り
自分の前に盾のように敷く。


ヒュッ!!

執事が放ったビームは盾に弾き返され
そっくりそのまま帰ってゆく。


「うわっ……!!!」

と、執事。

バサッ…バサッ…

影の主は、2人の良く知る

チームリーダーのブルーベリー・ストロベリー。

その周りには、彼女が操る
鏡が護衛のように付いてきていた。

攻撃を鏡で跳ね返しながら彼女はすぐに
距離をつめた。

ブルーベリー・ストロベリーのセクシーなドレスの
ぽっかり開いたドレスの穴から、
大きな、ごつごつした
コウモリのような翼が生えている。

「コーン、ヨモギと鏡を上げてくれない?」

と、ブルーベリー・ストロベリー。

「おっけ」

獣につかまるコーン・ポタージュは、片手で鼻をつまみ、
ぐいーっとひっぱり、放す。

ぼいん。

真っ赤な鼻がぶるぶる揺れる。


すると下から大きな装飾がされた鏡と、
メイド服のヨモギは屈辱そうな顔でふわふわ上がって来た。


「さんきゅ。1人づつ鏡を持って、やつに向けて」

彼女を取り巻く小さな鏡は一斉に執事の方向へ
体を向けた。

3人もそれぞれ鏡を向ける。

執事はまだ余裕そうな顔をしている。

ブルーベリー・ストロベリーは、執事を睨み
言った。


「こいつは勇者の息子よ」



「驚いた、生きてただなんて」

執事はいっそうにこにこした。


「な、なんだとぉーー!!」

ブラック・サンダーが驚き叫んだ。


「そうだよ…俺は、勇者リーガー ・ テロウウミカヴ ・ ヴィゼホゴケベル ・ ネーメー  ギャーソッセンブン ・ イヤヴゲデハチュグハクゴウィ ・ オンオジェーフモー ・ ヤ ーケンモンタッギン ・ ヴァツナーウントンビ ・ リャンモヒシハフパダガ ・ ヴンムー ズッケザツムン ・ ヒューヤドゥワピ ・ アッスッツンマムラリャクダカー ・ インガソン アーシェ ・ ウヘネ ・ ゼウィシュヌイスミ ・ ガンキン ・ ゾーゼースメサーナンマ ・  レザカクソゾー ・ ホンメガンダンボンバジー ・ ヒリコワッキソジリュ ・ スデホユコ  ピヨジョゴゴ ・ ソユクフェニンブポス ・ チウフンズゲツウェンオー ・ エソビチサメ ヴギャ ・ タジムキナス ・ テリケウェノグヴーゼツ ・ デコムンモヴォーネハク    ー ・ タルポゲビノミヴチェダーム ・ ヴェヨシェザレ ・ メナハブピホデンモッハッ  ゾ ・ ヒッケンベダーピド ・ ルーヌンダンコチギセディユ ・ アビンスサホゾンファ  ー ・ スキュワーキャドーグン ・ レンゲンボソヒジハーヌ ・ ガヤキャ ・ ボレンネユ ン セー ・ モーモーウホンヨゲニガビガ ・ セヌズヤメスザー ・ ピコビュダサスソ ケサギャニヒ ・ ザチ ・ ホカサオッヴヌン ・ ヤヴキジュト ・ リュイ
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「ああ、もう良い!!!」

ブルーベリー・ストロベリーはみけんにしわをよせ、
言葉を切った。


ブラック・サンダーはぽかんとしている。

「だから勇者もナントカって呼ばれてたのか・・・」


「遠距離魔法ってフルネームを使うだろ」

自慢げな顔で、執事は

「それでやられないようにって」


「肩書き自慢はいいから、はやく~」

と、だるそうに手拍子をするヨモギ。

パン、パン、パン、パン

”はやく”の、「は」と「く」と同時に手拍子。
さすがの執事も笑顔が引きつった。

「そんなボロい鏡で俺の光にいつまでも
  耐えられるとでも?」

執事は目をつむり、光を爆発させた。


ボン!!!!!!

鏡は光を受け、白という白よりも白く光った。

「くそ…まぶしい…!!!」

目をかばい、苦しむ執事。

「あんたからもらった攻撃を鏡に塗りつけたからね」

美しくほほえみながら、

「お父さんの正義のまぶしさにもっと感謝しなさいよ」
ブルーベリー・クランベリーは呆れている。


「お前ら……」

執事の笑顔が消え、無表情になる。
長剣に光があつまり始めた。


「勇者がどうやって魔王を切り裂いたか知ってる…?」

光が消えると、また長剣があった。
金の装飾がされ、刃が白く輝く長剣。

伝説の勇者の剣だった。

⑫メイドさんと勇者


ビュウッ!!!


勇者の息子が円状にふりまわした剣の光の跡が
ゆっくりと剣に戻ってゆく。


ヒュン!!!

ヒュン、ヒュン ヒュン


がむしゃらに剣を振り回す勇者の息子。

その剣は、ヨモギを横にまっぷたつにし、
ブラック・サンダーを3つに切り分け、
コーン・ポタージュの、首を通り、
ブルーベリー・ストロベリーを串刺しにした。


だが、その誰もが怪我を負う事は無かった…。


ブルーベリー・ストロベリーは羽ばたいた。
錯乱する勇者の息子から剣を奪うことは簡単だった。


「この剣は…勇者の血と、」

ため息交じりにブルーベリー・ストロベリーは口を開く。

「本物の正義の心を持つ者しか物を切れないのよ」


勇者の息子の虹色の光はすでに色あせかけて、
呆然とこちらを見つめている。


「悪の正義は善の正義よりも弱いけれど」


ブルーベリー・ストロベリーは伝説の勇者の剣を
思い切り振り上げた。


「偽物の正義よりは強いわ」


シュッ……


光は勇者の息子の体を裂いた。
そして、ゆっくりと
勇者の息子の体は二つに分かれて落ちた。

⑬メイドさんのエピローグ

バサッ バサッ

大きな翼が羽ばたく音。

悪魔ブルーベリー・ストロベリー…チームのリーダーは、
両手に2人の死体を抱えている。

「ああ、おも~い…ちょっとブラックサンダー!もうちょっと持ちなさいよ」
と、ブルーベリー・ストロベリーは下を見た。

雷魔術師姿のブラック・サンダーは地面をずんずん歩きながら
死体が20人ほど乗った荷台をがらがら音を立てながら
がんばって引いている。

「そうだよ、あとちょっとなんだし」

メイド服姿のヨモギは、同じメイド服を着たメイドのルルを
いわゆるお姫様抱っこして隣を歩く。


「ぜぇ…ぜぇ…てか降りろよッ!!」

ブラック・サンダーは後ろを見て
獣のように吼えた。


「あ、見えてきた」

と、ピエロの格好をした少年、コーン・ポタージュはつぶやく。

こちらの少年は何も持たず、荷台のふちに座って
すずしげにしている。


4人の向かう先には、立派だが小さな教会。


ゴーン…ゴーン…ゴーン…


教会の鐘が辺りに低くやさしく響いた。



「まったく、あなたたちはコリないわね」

とても老けてはいるが、とても優しい顔をしたシスターは
4人の顔をにこにこしながら見て言う。


「そりゃそうよ」

と、ブルーベリー・ストロベリー。

「だって、もっとこいつらは皆に感謝するべきだもの」


ゲテモノファミリーの使用人達、
ゲロリア嬢、メイドのルル、勇者の息子は
若いシスター達に囲まれ、世話をされている。



「じゃあ、私達はこれで」

ブルーベリー・ストロベリー達は、
とても老けたシスターに背中を向けた。

「もう行ってしまうのね」

「ええ、だって私達は悪役ですから…
    シスターとは生きる世界が違います」

と、ブルーベリー・ストロベリー。

シスターは悲しそうな顔をしている。

「でも、また来ても良いですか?」

「もちろんよ」

シスターはやさしく微笑んだ。


悪魔のブルーベリー・ストロベリー
忍びメイドのヨモギ
ピエロ少年コーン・ポタージュ
雷魔術師のブラック・サンダー

4人は、ふたたび魔王城を目指していった。



本編END
 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

  あとがき的なもの


~悪魔城・パーティ会場にて~

悪魔「あぁ~、肩こったぁ」ダラァ

魔術師「てか、ひどくないッスか?」

ピエロ「扱いが?」パクリ

魔術師「そうそう、いやちがうって!!見せ場だよ見せ場」頭ガシガシ

メイド「ああ、確かにあれはひどい」

魔術師「だろ?」

メイド「完全にネタキャラポジションだわ」モグモグ

魔術師「だから扱いの事じゃないって!!」

メイド「そんなら私のほうがひどいって」

ピエロ「そう?」

メイド「主人公は私って感じなのに、最後らへん姉さんしか喋ってないって…」

悪魔「えぇ~…そんな事言ったら私だって個性的な見せ場無かったし~」

魔術師「俺はどっちも無かったぞ」

ピエロ「まぁまぁ、おち」

メイド「おち?」

ピエロ「おちつけって事」

悪魔「聞いた事ないわよ、そんな略」

魔術師「てかピエロ、お前が一番いいキャラしてるんじゃねぇか?」

メイド「作者にも気に入られてるしねぇ」

悪魔「そうなのぉ?うらやましいわねぇ」

ピエロ「僕を主人公にした小説を書こうとか言ってたよ」

3人「ナンダッテー!!!」

ピエロ「魔術師が言ったとおり一番キャラが安定してるし」

魔術師「く!やられた!」

悪魔「おっと、ここで眠気に襲われる作者の言い訳だって」



カオスで低脳な内容ですいませんでした・・。



メイド「はい。どうも~」

魔術師「くっ!とられた!」

ピエロ「僕達にとってはセリフの数はひとつでもほしいからねぇ」

悪魔「さすが忍者、すばやいわねぇ」

メイド「む、擬音が無くなってますよ。さすが眠気」ウトウト

悪魔「ではそろそろお別れですね~」

魔術師「こんなところまで読んでくれた方、本当にありがとうございます」

ピエロ「じゃ、主人公 ラスト」

メイド「またどこかで、もう一度、ありがとうございました~」



END

⑭あとがきを越したらくがき

これは、作者がこの小説のキャラを使って
言い訳したり、謎いところを説明したりする茶番です。




~魔王城…パーティ会場にて~


ピエロ「ボンジョルノ!!」

メイド「うわ、なによ」

悪魔「セリフを盗られたのねぇ…ヨモギ」

メイド「くっ…朝5時から並んでたのに」

ピエロ「ふん、甘いね 僕は昨日から待ってたよ」

メイド「なん…だと」

魔術師「あ、もう始まってるのか」ズンズン

悪魔「遅いわよぉ!ネタキャラかつ空気キャラになっていいの~?」

魔術師「いや…それは…」

悪魔「じゃあ挨拶は済んだから説明するわよ」

ピエロ「いえーい」

悪魔「これは、作者が言い訳をするコーナーよ…!!」

メイド「えっ」
ピエロ「えっ」
魔術師「えっ」

メイド「そんな…てっきり私がもう一度小説の主人公になるっていう知らせかと…」

ピエロ「僕も…」

魔術師「あ、俺はただのノリだぜ」

悪魔「はいはい、始めるわよ ぐだぐだよ、じゃあ、
       埼玉県○○市にお住まいの作者。さんからのお便り」

『皆さんの種族と職業は結局何なんですか?』

メイド「ええと、私は人間で、職業は忍者
      見た目的に一番普通なんで使用人として忍び込む事が多いのでメイドもやってます」

魔術師「俺は、半獣半人で、職業は昼は雷魔術師で夜は…ケモノ?だ」

ピエロ「僕は一応人間だけど、特別に超能力が使える
       それを生かして道化師をやってたけど、なんか悪役になった」

悪魔「わたしは悪魔ね…悪魔の種類で言うと、サキュバスかしら…?
        職業は、チームリーダー…と…無職?てへぺろ」

ピエロ「働けよ」

メイド「働いて装備買ってくださいよ」

魔術師「つか、サキュバスだったんすか?見た目はそれっぽいけど
        中身は意外と純粋なんだよなぁ」

悪魔「ああ、それについては次のおたよりでね」


『何で悪魔さんは伝説の勇者の剣でまっぷたつに切れたんですか?』

ピエロ「む、あとづけ臭がする 作者。も、読み返して
            まずい!!て思ったんだろうねえ」

悪魔「えぇと、私はサキュバスと勇者のいとこのいとこの…
        子供だったような気がしたわぁ、そう言えと言われたもの」

メイド「へぇ、サキュバスと勇者の血を持つ男の純愛かぁ いいネタになりますね」

魔術師「だから妙にピュアなのか…」

悪魔「ゴホン…では次の質問」


『最初にヨモギは何でアツアツの天板を素手でつかんだの?』

メイド「ああ、これほんと何アピール?って感じだよねぇ」

ピエロ「熱かった?」

メイド「いや…そんなには だってド○クエの勇者だって
      メラが当たっても何食わぬ顔するでしょ?」

魔術師「え……うん」

メイド「それに一人だったし、いちいち鍋つかみつけるの面倒だったし…」

悪魔「もう一般人には戻れないわね」


『結局この大陸はどう変わったの?』

悪魔「特に何も変わったところは無いわね」

魔術師「あんなに頑張ったのになぁ」

メイド「勇者の息子を倒したくらいじゃね」

魔術師「皆生き返ったけどな」

悪魔「せめてゴミ埋め立て地の上からは離れたいねぇ~」

ピエロ「報酬はしっかり貰ったけどね」

魔術師「ああ、貰ったな 契約どうり」

ピエロ「何買った?僕は3●S」

悪魔「これこれ、セウトよ」

魔術師「俺は新しい装備買ったなぁ」

メイド「雷魔術師の時はぜんぜん使えないよね」

魔術師「ぐぐっ…性能の良い武器に頼るしか無いんだ…」

悪魔「獣の時の火力は一番なんだけどねぇ…」

ピエロ「フォローおつ」

魔術師「メイドは何買ったん?」

メイド「えっと、貯金」

ピエロ「つまんな」

悪魔「に、日本人らしいわね…」

魔術師「そんなに貯めてどうするんだよ」

メイド「老後のために…」

魔術師「だから日本は不景気なんだよォ!!もっと使えよ!いつ使うんだよ!」

ピエロ「今でしょ!」


END  

悪役メイドさん

⑬の中にあります。

悪役メイドさん

テーマは『悪の正義』のすごくファンタジーでコメディーな 悪役メイドとその仲間達の、人生のほんの一部を見ていただくお話です。 期待はしないでね! 完結しています。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-02-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. ①メイドさんの苦労
  2. ②メイドさんのお家
  3. ③メイドさんの仲間
  4. ④メイドさんの苛立ち
  5. ⑤メイドさんの目覚め
  6. ⑥メイドさんの朝
  7. ⑦メイドさんとメイドさん
  8. ⑧メイドさんの本気
  9. ⑨メイドさんとピエロ
  10. ⑩メイドさんの仲間達
  11. ⑪メイドさんと仲間達と
  12. ⑫メイドさんと勇者
  13. ⑬メイドさんのエピローグ
  14. ⑭あとがきを越したらくがき