解毒剤

正体バレです。
少し重いです。

ここは工藤邸。
APTX4869の解毒剤が出来たかもしれないとの知らせを受けたコナンは、哀とここで会う約束をしていた。

「おっせーな灰原…」

コナンはそわそわして落ち着かない。


ピンポーン

「おっ、きたきた!」

「工藤くん?私よ。」

「おう!空いてるから入れ!」


哀がリビングに入る。

「待ってたぜ灰原!…それで?解毒剤は…」

「一応、持ってきたわ。」

「よっしゃ!は、早くくれよ…」

「ダメよ‼︎マウスでは成功したけど、人間に投与したらどんな副作用が出るかわからないのよ!?」



その頃、蘭は…

(早く帰ってご飯の支度しないと…あれ?新一の家、電気付いてる…もしかして、帰ってきてるの!?)

新一の家の電気がついているのを発見し、
新一の家のチャイムをならす。

ピンポーン

しかし、中では哀とコナンが口論をしており、チャイムに気づかない。

(ま、まさか新一具合が悪くなって倒れてるんじゃ…)

これまで、新一はたまに戻ってきたと思えば胸を押さえ、苦しそうにしていた。
蘭がそう思うのも無理はない。

「し、新一…?入るわよ…?」

蘭が戸を押すと、鍵はかかっていなかった。

「お、お邪魔します…」

(あれ…話し声…?)

蘭が声の聞こえる方に向かう。
するとそこにいたのは…

(コナン君⁉︎それに、哀ちゃんまで…‼︎)

「コナ…」

コナン君、と呼びかけて、蘭は思いとどまる。

「早くくれよ!俺は早く元の姿に…」

「ダメなものはダメ!もし体になにかあったら…」

「俺は一刻も早く組織の奴らをぶっ潰さなくちゃいけねえんだ‼︎」

(元の姿…?組織…!?)

「組織…そう。あなた、工藤君の身体を幼児化させ、何人もの人を殺してきたあの組織…。そして、その薬、通称APTX4869を作ったのはこの私…あなたは、こんな私が作った解毒剤を信用するっていうの⁉︎」

「バーロー…おめーは、もう奴らの仲間なんかじゃねえ…だろ?少なくとも俺は、お前のこと、信用してんだぜ?」

「く、工藤君…」

(工藤君⁉︎幼児化!?APTX4869…!?ま…さか……)

蘭は戸惑いを隠せない。

意を決してコナンに声をかける。



「だから、お前は…」




「……コナン君?」




「…⁉︎」

「…らっ、蘭さん…⁉︎」


「コ、コナン君…?今の、どういうことなの…?幼児化とか、組織とかって……」

「らっ、蘭姉ちゃん⁉︎まさか……き、聞いてた…の…?」



「わ、私、帰るっっ‼︎」


そう言い残すと、哀は工藤邸を後にする。


2人きりになるコナンと蘭。


「蘭…姉ちゃん…?」

恐る恐るコナンが話しかける。

「…ふふっ。笑っちゃうよね…。」

「……」

「蘭姉ちゃんなんていって…いつも…いつも、そうやって私たちを騙してきたんでしょう?…そうよね?コナン君。……ううん、新一?」

「蘭……」

「新一なんでしょ…?お願い、本当のことを教えてよ…」

蘭はうつむいていて、表情は見えない。

「………」

「どうして……っ…どうして、何もいってくれないの……⁉︎」

「蘭……」

「コナン君…答えてよ‼︎新一……だよね⁉︎」

蘭は泣き声になる。



(ふっ………限界…だな…………)



コナンは覚悟を決めた。



コナンは眼鏡を外し、蘭に歩み寄った。

そして、一言、

「あぁ。」

と、漏らした。


「っ‼︎本当に、新一なのね………⁉︎」

「あぁ…。」

「っ、どうして⁉︎どうして黙ってたの⁉︎なんで何も言ってくれなかったの⁉︎ずっと、新一に会えなくて悲しんでる私を見て、笑ってたのね…!?」

「…っ、そうじゃねぇ‼︎」

コナンはそう叫ぶと、泣き崩れていた蘭の顎に手を当て…


チュ。


「…⁉︎」

「蘭…聞いてくれ……あの日、お前とトロピカルランドに行った日だ……」

そうして、新一はポツリ、ポツリと、どうしてコナンになっていたのか、なぜ黙っていたのかを洗いざらい白状した。


「…ただ、これだけは聞いてくれ。俺は、……お前のことが好きだ。初めて出会った時からずっと。お前のことを考えない日なんて、1日も無かった。……許されることだとは思ってない。許して欲しいとも、思ってない。…今、ここで俺を気が済むまで殴ってくれ…。」

新一が目を伏せた。

すると、これまで表情を変えずに黙って聞いていた蘭が急に立ちあがった。
そして、コナンの顔を持ち上げ、手を振り上げた。

「…っ!」

コナンは殴られると思い、身体を硬くする。
しかし、感じたのは優しい蘭の香りだった。

「…き……」

「…え?」

「私も、あなたのことが好きよ…。」

蘭がコナンを抱きしめていたのだ。

「蘭…お前…怒ってない…のか……?」

「どうして?私には、新一に怒る理由なんて、一つもないじゃない?」

「だって、俺は…ずっとお前を騙してきた、最低な男なんだぜ?」

「それは全部、私の事を思ってしてくれたことなんでしょう?悪いのは、新一を殺そうとした組織の人たちじゃない!」

「蘭…」

「新一は最低な男なんかじゃない‼︎新一は、私がピンチなとき、どこにいても助けに来てくれた、私の特別な男の子なのよ…?」

「許して…くれるのか……?」

「当たり前じゃない!第一、私は怒ってなんかないわ!」

「蘭…サンキューな、マジで…。」

「新一…」

「これからも、色々世話かけると思うけど、俺が、組織をぶっ潰すまで、待っててくれるか…?」

「もちろん!」

「ありがとう…蘭。愛してる…。」


2人は抱きしめあった。

相思相愛の2人だが、恋人同士になるのは
まだ当分先だろう。

2人は手を繋ぎ、小五郎の待つ探偵事務所へ向かう。


組織が解体され、2人に本当の幸せが訪れることを願いながら…。

解毒剤

この終わりはなんだぁぁぁ!?!?!?

読み辛くて申し訳ございません‼︎



ずっと書いてみたかった正体バレが書けて、
大満足の怪盗KIDです。w

解毒剤

コナン 蘭 正体バレ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted