鑑賞記録-文学座公演「お気に召すまま」より
東池袋にあるあうるすぽっとにて観劇。あうるすぽっとシェイクスピアフェスティバル2014の一。
簡素な舞台空間を「お気に召すまま」の柔軟でユーモア溢れる言葉と、これらをつかさどる役者たちが彩る。ごく少量の演出効果を巧みに操り変化させることで、観客の想像力のなかへ現実よりもリアルな風景を喚起させる。能舞台の要領で時空間を瞬時に飛びこえる、そうした意味では非常に古典的である。大仰な派手さは無いが、否、かの側面ではもはや勝負する気配すらない様子で、恋に浮足立ち狂気じみた恋人たちの在り様を“ドタバタ喜劇”と括らせることもなく、軽やかに、可愛げたっぷりに描いていた。故に、かえって本質を味わい深く噛みしめられたかも知れない。
冒頭よりこの台詞回しの応酬のみが継続したらばどうなるか、と幾らか心配にもなったが、直ぐにあれよあれよと戯曲物語に引っぱりこまれて夢中になった。シェイクスピア生誕450年を迎えたわけだが、世相が姿を変えようとも共鳴する髄に変わりはない。
鑑賞記録-文学座公演「お気に召すまま」より