出口の無い迷路

悪夢


小さい頃の記憶。

あやふやで曖昧な記憶だけど、一つだけ明確に覚えていることがある。

それは、忘れられないほどの悪夢だったということ。

今でも身体中が冷えていくような、小刻みに震える感覚がある。

忘れたいのに忘れられない。

ある種のトラウマというものなんだろうか。

悍ましい記憶が蘇ってくる。

あの頃の私は、毎晩のように悪夢にうなされ続けていた。

それは私の記憶だけに留まらず、いわゆる寝相や寝言にも影響していたようだった。

叫び声を上げたかと思えば、急に泣き出したり暴れ出したらしい。

親から聞いた話だと、私はまるで別人のようだと言う。

私自身も、全く身に覚えがないというわけじゃない。

自分の泣き声で、目を覚ましたことが何度もある。

もちろん目を覚ますのは私だけではなく、親も同じだった。

そんな私を心配して、ある日精神病院に連れて行かれた。

出口の無い迷路

出口の無い迷路

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-22

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  1. 悪夢
  2. 2