出口の無い迷路
悪夢
小さい頃の記憶。
あやふやで曖昧な記憶だけど、一つだけ明確に覚えていることがある。
それは、忘れられないほどの悪夢だったということ。
今でも身体中が冷えていくような、小刻みに震える感覚がある。
忘れたいのに忘れられない。
ある種のトラウマというものなんだろうか。
悍ましい記憶が蘇ってくる。
あの頃の私は、毎晩のように悪夢にうなされ続けていた。
それは私の記憶だけに留まらず、いわゆる寝相や寝言にも影響していたようだった。
叫び声を上げたかと思えば、急に泣き出したり暴れ出したらしい。
親から聞いた話だと、私はまるで別人のようだと言う。
私自身も、全く身に覚えがないというわけじゃない。
自分の泣き声で、目を覚ましたことが何度もある。
もちろん目を覚ますのは私だけではなく、親も同じだった。
そんな私を心配して、ある日精神病院に連れて行かれた。
出口の無い迷路