彷徨える人/ 散文詩編
わたしを そんな奇異な眼で見ないで
ただ 忘れかけようとしている 遠い記憶の中を
あちこち 彷徨っているだけなんだ
訳もなく 歩いたり 泣いたり 笑ったり 怒ったり
しているように 見えるかも知れないけど
そうじゃあ ないんだよ
あの時の あの人が 呼ぶんだよ
早く こっちに おいでよって 遠くでわたしを
その声をたよりに 歩いて行こうとしている
わたしの邪魔を しないで欲しいんだ
もう時間がないんだよ わたしには 残された時間が
もう一度 あの人に 逢いたいだけなんだ
だから わたしを自由に もう少しの間だけ 自由に
彷徨える人/ 散文詩編