3cm

君は僕が好き
だと思う

男としてなのかは
よくわからないけど

僕は自分に自信がなくて

―――――――――――――――

僕は動物が好きで
犬を飼ってたって話をした
君はカラスやオオカミ、クロヒョウ、クマがかっこよくて好きって
黒い動物ばかりあげるから
ゴリラは?って尋ねたら
お腹を抱えて笑ってたよね

そして君は動物園に
誘ってくれた
君も本当に動物が好きみたいで
無邪気にはしゃいでいて可愛かった
幼い頃に戻ったみたいに
時間を忘れて楽しめた

―――――――――――――――

「そういえば…
 細波は好きな奴とかいるの?」

僕は勇気を出して聞いてみたけど


君の反応はなくて


聞こえなかった?
と言いかけて顔を覗くと
真っ赤になって硬直していて
「あっ、聞こえてたよな…うん」
と僕まで赤くなる

な、何なんだ…この沈黙は
何かしゃべってくれよ


僕の願いが届いたのだろうか

「変なこと聞くね…」

「なんでそんなこと聞くの?」

不機嫌そうに尋ねる

「な、なんでって…」

僕は怯まない

「そりゃ…
 気になるからに
 決まってんじゃん」

「細波は…
 多分その…気づいてると思うんだけど」


「俺…細波のこと好きだから」

笑顔で気持ちを伝えることができたと思う
君は目を大きく見開いた

「あのさ…
 俺と付き合ってくれない?」

「私…『付き合う』の意味がわからない
 付き合うって何をすることなの?」

「何って…」

キスしたり
その…生まれたままの姿で…
う…変なことしか思いつかない

「いや俺もわかんないんだけど」

そんな目で見てるんじゃなくて

「何をするかっていうか
 俺の場合だけど」

「細波といると楽しいから…
 側にいて欲しいなって思って…」

「他の男じゃなくて
 俺の側に…」

僕は何を言ってるんだろう
こんな独占欲を剥き出しにして

「あ…やっぱ俺じゃ駄目かな…
 背低すぎだしな…」

「えーっ!?
 私より高いくせに」

そう言って
上目使いで僕を見上げる

というほどの身長差もないけど


「ダメじゃないよ」

そっと僕の手に触れた

初めて触れた君の指は
あまりにも冷たくて


思わず抱きしめた


俺はこの子を一生、守っていきたい

3cm

3cm

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-02-19

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