ぽい
空っぽのごみ箱がすぐいっぱいになるように
明日はごみの日だから空っぽにしなくちゃいけない
読み切ったばかりの本を見ているような
触れる前の本の不思議を思い出す
お米の一つ一つのおいしさとか
水道に流れて行った一つとか
今ただ過ぎてしまっている目に見えないものを感じているふりをしている
本当に何もかも自分じゃどうすることもできない
なんて
そんなのフィクションだって
実際の人物団体とは全く関係ありませんなんだって
ごみ箱を空にするときの音が嫌いだとか
本を読み切ってしまうのが怖いとか
米粒がなくなる切なさとか
本当に何もかも自分次第なんだって
そう誰かも言っている
自分もそう思っている
思っているだけじゃ絶対
だから適当に指を動かしてみる
よくわけのわからないことをただつらつらと書いてみれば
なんだか満足した気持ちになれる
いくつかごみ箱に行ったけれど
いくつか水に流れて行ったけれど
いくつか読み終わってボロボロになって
だけどそれでも売ったりできなくて
売り物にはならないゴミばかりだけれど
ごみばかりだけれど
つらつら書き連ねているのはフィクションであって実際の人物団体とは関係ありません
でもそれらは確かに誰かの頭の中に存在していて
それを表現して
伝わっていって
顔も見知らぬ誰かの頭の中にだって何かしらのかたちを残す
ただただ流れていく目に見えないものは多分もっともっとたくさんあって
ほんとうに見えづらくなってしまったメガネを外して
目を凝らしてみたら怖いと言われた
ああ小さい小さい一つの
小さい小さいこころのなかで
小さい小さい頭の中で
一つ一つが集まってるご飯のおいしさの謎
一つ一つの字の集まりがこの表紙の向こうに隠されてる謎
読み終わるまで最後のページをめくるまで謎のまま
謎は解ける?どうだろう、読み終わった後の本の存在感、謎
ごみじゃないのに捨てられる謎
小さいころ感じてた謎はあんまり解決していない気もする
まだまだ小さい小さい
身体ばかり大きくなってしまって
じぶんじゃどうしようもないことをこどものころのように駄駄をこねたい
あの頃投げ捨てたものは本当にいらないものだったのかな
今捨てているものは本当にいらないものなのかな
ぽい