May

May

赤 白 黄 の花に身を収め
開眼の日(とき)をずっと待ち続けていた だけど
その白い肌 血と涙と魂(こころ)を
神は僕を見ぬふりし 君を連れ去った

深緑の葉が日輪を浴びて 花を咲かす
君と僕 隣り合わせで 影法師
「遅いよ」って先を行く後を追いかける

May 僕はここにいるよ
    取り戻せたらって何度も
   奪われていく体温
   5月の煩いは永久(とわ)に絡み、消えた

赤 白 黄 の花を櫃に添え
哀願の日々に限界を感じていた だけど
その黒い瞳 声と仕草すべてを
僕は神に頼って ただ泣いた

空に溜まった汚れが地に染み 花を枯らす
僕ひとり 3つ数えて かくれんぼ
「遅いよ」って先を行く跡を追いかけて

May 君はどこにいるの?
    そばにいたいよって何度も
    遠のいていく精神
   5月の煩いは永久(とわ)に歪み、消えた

一緒に「あの時」に連れて行って――

May 僕はここにいるよ
    取り戻せたらって何度も
    色褪せていく記憶
   5月の煩いは永久(とわ)に巡り、消えた

May

May

大切な人を失ってしまう悲しみ・苦しみを綴ったものです。 花を添える場面からはじまり、その人との思い出の場所に行ってみたけれど、自分しかいない…。 Mayというのは季節(5月)でもあり、ここでの亡き人の名前でもあります。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-18

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