チョコレートは苦く、涙は甘い

チョコレートは苦く、涙は甘い


口どけはとろけるようで、後味はにがく、
ミルフィーユみたいに崩れやすい。

あなたは恋の名前を知っていますか?


「頑張ってね! わたし応援してるから」
わたしはチョコレートの入った箱を持って赤面している親友に笑いかけた。
いや、〝上手に笑えている〟はず。
本当は応援なんてしてないくせに いい子ぶりっ子。

嘘が上手くなるたびに、私の心は今にも悲鳴をあげそうになっていく。


気づけ、ばか。

楽しそうに話す彼に、胸の中でつぶやいた。私の想いなんて知らんぷりで君はずるい。
私なんかと話していいの? 彼女と一緒にいなくていいの?
ひねくれた想いばかりが膨らんでいって、私が私の知らないものへ変わっていく。

親友と彼が一緒に帰るようになったなんて、もう、知ってるんだよ。
だから期待なんかさせないでよ。
無邪気な笑顔もいじわるだけど優しい君も、今は全部あの子のもの。

私は今、どんな顔してる?


ああ、嫌、嫌だよ。
もう苦しくて……消えてしまいたい。
嫌いになる努力も無駄で、今もあなたが好きでたまらなくて。

指先からすり抜けていくのは止められない。

それでも傍に居られたら、なんて

あなたのために流した千の涙は、儚いほど甘い。

チョコレートは苦く、涙は甘い

チョコレートは苦く、涙は甘い

あなたは恋の名前を知っていますか?

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-15

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