初恋インモラル
あの日、私は初めて生きたいと思った、初めて幸せだと思った。
だからここにいる。今、ここにいる。
会いたい。会いたい。今すぐ貴女に、
『会いたい。』
H24.08.03.~H24.10.11.~中一の話①~
その日は塾のテストだった。憂鬱で、眠たくて、何もする気力になれない。そんな日だった。
横の人は黙々と問題を解いていた。
ふと前を見ると、綺麗な黒髪が目の前に入ってきた。
私はテストを解き終わると、目の前の彼女に視線を送っていた。
夏期講習会を終えて、今日から通常授業である。
やはり憂鬱だったがそんな気持ちはスグに吹き飛んだ。
あの時の黒髪さんの隣だったのだ。
「あの・・・中学校はどこなんですか?」
私は迷うことなく聞いていた。
10月に入って、彼女について知りたいことが大分知ることができた。
名前は長谷部結奈。誕生日は5月12日。性格は基本おとなしく、まさに清純の中の清純だと思った。
私は昔から人にべたべたするのが大好きだが、最近は結奈にしか抱きついていない。
「もう、いつまで抱きついてるの?」
私はちょっと照れながら、結奈から離れた。
「それじゃあ、またね!」
私たちは、そういって別れた。
結奈には言えない、私の秘密。知られたくない、私の考えていることを・・・
H24.07.31.~H24.08.01.~過去の話~
何も考えたくない。何もしたくない。何でこんなことになったんだっけ・・・?
今日は、部活の大会だった。私は一年生だから、試合には出ない。それなのに応援なんて馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
好きな先輩なんていない。それどころか仲の良い友達なんて、部活にはいなかった。私はいじめにあっていたくらいだ。
『もう、逃げちゃえば?』
頭の中で響いた声。それは私を快楽に引き込むような、甘ったるい声。
私は逃げた。自転車が軋む音を聞きながら、全力で、逃げた。
『ガシャッ』
私は、見知らぬ場所まで来てしまった。何処だろうか?
どうやら私は、橋の下、川の横の噴水まで来ていた。もう夜になっていた。
私は、家出を決意してここまで来た。
もう、友達も、家族も、部活も、全部いらない。いらないから、幸せになりたい。
私はベンチを探して、寝ることにした。
寒い。ただ、寒かった。私が今着ているものは上下ジャージ、中にTシャツ。それだけだったから、なかなか寒い。
しかも川の近くだから、その影響もあって、寒くて、でも、誰も心配してくれないだろう。
本当に、何やっているんだろうか。明日には帰ろう。
何からも逃げることなんてできないんだから、すべてを受け止めて、終わってしまおう。
そう考えながら、私は、眠りについた。
孤独の寒さを味わいながら。
朝起きたら、まだ薄暗かった。ふと後ろを向くと、日の出が私の前で輝いていた。まるで世界を消すような、赤だった。
「戻ろう」
そうして私は、自転車を漕ぎ出した。
初恋インモラル