わたしの声を聴いて

ずるい事だとは分かってる。
見ていたくない
見ていたくない

我儘

「もう、死にたい」
突然彼女がそう言ったので、僕は頭を上げることしかできなかった。
頭ではその言葉を何度も繰り返しその言葉に疑問を生じた。
どうして?なんで?
「生きるのが辛い。」
彼女は体を震わせながら吐き捨てるようにそう言った。
僕はその様子を見ることしかできなかった。

木製のベッドに白い毛布、衣服などが入っている木製のタンス、黒いふちの窓がある空間に僕と彼女はいた。
彼女はベッドの上で白い毛布の中に隠れてしまっている。一方の僕は、この空間には椅子がないので、壁を背にあぐらをかいていた。
「どうして」
なるべく優しく話しかけた。彼女にとって僕の言葉さえも棘(とげ)だから。彼女は布団の中から顔を出した。
さっきから何回もみていたはずなのに、今の彼女は少し怖いと感じた。実際、やつれているし、髪の毛が少し茶色いので、黒の瞳が一層際立った。
「生きてるのは辛い、から。」
「死ねば解放されると思ってるの?」
返事の代わりに彼女はうなずいた。
「その考えは馬鹿だよ」
思わずきつい声で言ってしまっただろうか。僕の強い言葉に会話は終わりを迎えると思っていたが、今回はそうはいかなかった。
「今まで生きてていい事なんてなかった、から」
言葉を話す彼女は僕と会話はあまりしない。自分から話しかけてくるのは稀のことだ。でも、今回の話は可笑しい。
僕は頭を掻いた。こんなくだらない考えはやめさせなくては。
「だからって死ねば済むと思うなよ。それは逃げてるだけだろ」
クソっ僕の馬鹿!強い口調で思わず言ってしまった。彼女をまた傷つける。俯(うつむ)く彼女が目に見えていた。
「違う。逃げてない。私は逃げなかった!!」
彼女の大きな声に驚いた。こんなに彼女がムキになるのは初めてだった。さっきまで死にそうな顔をしていたのに、今では血液がちゃんと循環してるんだって分かるくらい彼女は生きていた。いや、これは表現が可笑しいか。彼女も自分の声に驚いていた。彼女が息を整える声が聞こえる。
「私は死にたい。」
まだ言うか。
「いい加減にしろよ!いきなり何言ってんだ!!死にたいとか、生きたくないとか、愚かな言葉だ!!!」
「違う!!!愚かなんかじゃない!」
何を根拠に彼女はこんなにも見違えてしまったのだろう。死に憑りつかれているようにはみえない。こんなにも主張できるのに何故・・・・・・
「どうして!私の人生に口をだすの!!!」
「お前の人生がお前だけしか関わってないと思うなよ!!みんな関わって助け合って生きてんだろ!!なんで分からないんだ!!」
「私は助け合った記憶はない!!!」
「・・・・・・僕としてるでしょ?」
これはいけないと思い、心を落ち着かせた。彼女も気づいたらしく、自分をなだめるように、胸に手をあてた。
「違うわ・・・・・・。」
彼女がボソッと言った。
「あなたと私は助け合ってない。」
「・・・・・・何を言ってるんだ。」
彼女には強い意志がある。”死”という名の・・・。どうしてそんな考えができるのだろう。死ぬことが開放など馬鹿げてる。息を整えるためその場に立った。僕は低血圧ぎみだから、ちょっと揺らめいた。頭を壁にくっつけて、視界が正しくなるまで待った。
「あなたは私を助けてくれるけど、私はあなたを助けたことなんて一度もない。」
確かに、それはそうだった。俺が彼女の助けを借りたことは一度もない。でも、だからなんなのだ。
「本当は思っているでしょう?私から解放されたいって。」
「こんのわからずやがぁ!!何故理解しないっ!!!」
違う。自分が言いたいのはそんなことじゃない。この言葉は本心じゃない。なんで自制がきかなくなってるんだ!!!
解放ってなんだ、助けってなんだ。頭がパンクしそうで、頭で考えることを放棄しようとしている自分がいるのだ。
「死ぬことが解放じゃないのよ。私にとって救いなの。」
彼女は”死”こそが救いなのだと言う。そんなの間違ってる。可笑しいんだ。僕は言いたいこと言うことにした。大丈夫。彼女はわかってくれる。
「ごめん、そんなことが言いたかったわけじゃないんだ。・・・・・・ただ、君がいなくなると僕は困ってしまうよ。」
「何を困ることがあるの?」
うまく言葉にできるだろうか。
「うまく表現できないけど、きっと寂しいんだ。君といるのが楽しいんだよ。少なくとも僕にとっては、ね。」
自分で言って我儘(わがまま)のように聞こえる。僕が困るから生きていて欲しいんじゃない・・・・・・・。
「死にたいとか、生きたくないとか、生者(せいじゃ)の驕(おご)りであり、特権なんだよ。君は、生きたくても生きられない人がいる中で、我儘を言ってるだけなんだ。」
彼女はちゃんと聞いてくれた。僕の目を見て、僕の声に耳をすましてくれた。もっと、話を聞いてほしい。僕の足は彼女の方にのびた。
「君は死にたいんじゃなくて、現実から逃げたいだけだ。」
「・・・・・・同じだわ。」
「同じじゃないさ」
「どこが違うっていうの?」
彼女を見下ろす位置に着た。黒い目は最初は怖かったけど、今なら愛嬌(あいきょう)があるようにみえる。茶髪が混じってる痛んだ彼女の頭に手を置いた。
「分からない。でも、きっと違うのさ。」
「・・・・・・でも、死にたい。」
思わずついてしまったため息。
「本当にそれでいいの?」
「うん・・・・・・あなたもどう?」
突然のお誘いだが、僕はまだいきたくない。
「ごめん、僕はどうせは短いから、自分からはいきたくない。」
「そう、そうなの・・・。」
彼女が色白の手を伸ばし、彼女の頭に乗っている僕の手の手首をつかんだ。とても冷たい。
グイっと引っ張られ、前に倒れた。彼女とぶつかるって思ったけど、彼女も一緒にベッドにいったので、なんとか激突は防げた。
必然的に、僕は彼女の上になった。どうしたんだろう、いきなり引っ張って。まだ僕の手を放そうとはしてくれない。
彼女は僕の手を首にかけた。
「っ!!!」
とっさに僕は手を引いた。彼女は笑う。
「お願い。」
「いやだ。」
「一人ではいや。」
なんという我儘だろう。僕に十字架を背負わせる気か。
「大丈夫。そんなに力はいらないわ」
「いやだ。」
「あなたも楽になる。もう、私に会わなくていいのよ。」
あぁ、人間とはほんと愚鈍な生物だ。愚かでどうしようもない。楽な方を選びたがる。どうしてだろう。
僕には彼女の首に手をかける以外の行動を知らなかった。
彼女はいまだ微笑んでいる。青白い顔でこちらに笑いかけている。
その顔がひどく、頭にこびりついた。

わたしの声を聴いて

初めまして高梨 恋(たかなしれん)でございまする。
初投稿です><おみしりおきを。

さて、今回の作品ですが、パパッと書いちゃいまして、名前とか、どことか、曖昧です。それが売りなのさ←
一様、孤児院の医務室みたいな設定なのですが、病院みたいですねwww    いや、笑いごとではありませぬよ。
今回、主観とした僕っ子の彼は心臓病を患っている男の子っす。病気ってかわいそうですね。
死にたがりやの彼女はイジメを受けている設定です。
大人って気づけないから。子どもって隠すから。
そんな感じです。ごめんなさい。
雰囲気小説ですごめんなさい;;
彼は確かに楽になりたかったのですが、それと同じく彼女に事が好きだったんです。
シリアスな恋愛は大好物です。

ここまで読んでくれた皆様、ありがとうございました。

わたしの声を聴いて

死にたがりやな女の子とそんなん愚かな考えや!っていう男の子のラブストーリではなく喧嘩。 観覧注意。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 成人向け
  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2014-02-15

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