リストラ通告

リストラ通告

 リストラの噂はあったが自分は関係ないと思っていた。
 だが人事役員の言葉に日下部は頭を殴られる思いだった。

 「小さなミスで部下の女子社員を人前で罵倒したらしいね?」
 「罵倒だなんて」
 「彼女はショックで拒食症になったそうだよ」
 「……」
 「次だ。君は部下発案の稟議書を、自分の企画のように捺印を貰って回ったそうだな」
 「そんな誤解です」
 「悪気はないのだろうが、君の思慮不足が若い社員のやる気を奪ってたんだよ」
 「……」
 「君には退職してもらいたい」
 「そんな!」

 日下部は妻の書いた創作小説を途中まで読み、顔をあげた。
 「お前が拒食症になったのは知らなかった。とにかく部下の気持ちを大切にするよ。リストラされたくないからね……」     (了)

リストラ通告

リストラ通告

リストラの噂はあったが自分は関係ないと思っていた~

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-13

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