人面ソウ
「これは何?」
少女の乳房に腫れ物ができた。
数日後大きく腫上がり、奇妙な事にそれは人の顔によく似ていた。
毎夜その人面が甲高い泣き声とともに
少女の夢に現れるようになり、
人に見せたくなかった少女も病院にいくことにした。
待合室で、痒みを感じ服の下から手を入れた瞬間だった。
鋭い歯が少女の指に噛み付いた。
恐怖で悲鳴をあげ、血だらけの指でまわりに助けを求めたが
誰もが少女から逃げるだけなのだ。
絶望した少女は四階の窓から身を投げ出した。
「指を自分の歯で噛み切って、窓から飛び降りたんですよ」
受付の女性は警官の質問に見たままを伝えた。
その後、少女の部屋で腐乱した嬰児の死体が見つかった。
少女の生み捨てた子供だった。
(了)
人面ソウ