犬猿の仲

犬猿の仲

「課長、渡してください」
 右側席にいる猿川が資料を俺に差し出した。
 犬猿の仲だから仕方ないかと、
 正面席の犬山に資料を渡す。
「犬山君。例の件の資料だ」
 犬山は不快そうに猿川をチラリと見た。
「課長、伝えて下さい。提出期限は守れ、と」
 おいおい、伝言ゲームか・・・・・。
「段取りの悪さを後輩のせいにするのってどうなんですかね? 課長」
 猿川がまた余計なことをいう。
「何?・・・・・・課長、何とか言って下さいよ!」
 犬山が怒り出し、結局、今日も課内は険悪なムードになった。

 帰宅しながら足取りは重かった。
 どうして、みんな仲良くできないんだろうな・・・・・・。
 自宅前で表札の妻と母の名前を見て、俺は長いため息をついた。
 (了)

犬猿の仲

犬猿の仲

おいおい、伝言ゲームか・・・・・。 「段取りの悪さを後輩のせいにするのってどうなんですかね? 課長」~

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-13

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