心電図

心電図

「か、母さん?」
ベットで微笑む母に俺は絶句した。

危篤の知らせで帰省して三週間が経つ。
母はクモ膜下出血で倒れ意識も戻らず今も危険な状態が続いていた。

消灯後の病室で心電図の音が規則的に鳴る。
体中に管をつけた母を見て俺は様々な事を後悔していた。

就職したら初ボーナスで何買ってもらうかな?
楽しそうに話す母を思い出す。
あの時、何故俺は何も買ってやらなかったんだ?
そう思うと目頭が熱くなり、涙が溢れ出した。

その時だった。
「バーカ。気にするな、そんな事」
笑顔の母が俺をからかった。意識が戻ったんだ!
 
母の名を呼んだ瞬間、真っ暗な病室で目が覚めた。
なんて夢見せるんだ、神様は。
絶望の闇の中、心電図の音は鳴り続けていた。  

(了)

心電図

心電図

「か、母さん?」ベットで微笑む母に俺は絶句した。危篤の知らせで帰省して三週間が~。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-13

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