豪快部長のお礼

豪快部長のお礼

 「ちょっといいか」
 いつも大声の部長が何故か小声だった。
  
 無駄に豪快な部長だが部下に気前がいい。
 今日も飲み会後、俺と高田をラーメン屋に連れてきた。
 「ワハハ、高田君、奥さん元気かぁ?」
 「俺の名前は川田でまだ独身です。覚えて下さい」
 いい加減な部長に、酔った勢いで突っ込む。
 三人で大笑いした。
  
 部長が小声で話しかけてきたのは高田がトイレで席を立った時だ。
 「どうしたんですか?」
 「実は金がない。貸してくれ」
 何のことはない。会社に財布を忘れてきたらしい。
 今回は俺が全額出すと主張したが部長は譲らない。
  
 翌朝、机の上にお金とお礼のつもりかタバコが置いてあった。
 ただし俺ではなく高田の机で、かつタバコは吸わないんだけど。 
 (了)

豪快部長のお礼

豪快部長のお礼

「ちょっといいか」いつも大声の部長が何故か小声だった~

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-13

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