A-TCG
AYAー【 tutorial ①【 BATTLE 】 】
異世界・・・と言われてもイマイチ実感がなかった
命をかけたTCG(トレーディングカードゲーム)「A-TCG」
俺はそのチュートリアルバトルをしていた
「セット」
目の前には茶色い髪をした勝気そうな目の女性が居た
『セット』の掛け声で俺の右腕の横にカードの山が現れた・・・実感した・・・ここが「現実世界」ではない事を
「5枚の手札をドロー」
いちいち声に出しているのはこれが「チュートリアル」だからだ
「バトルは敵の「ライフ」を「アタックカード」で削り「レトリクトカード」で拘束すればOKか・・・」
「さっきから何ぶつぶつ言ってるの?気持ち悪い」
見れば女性の方にもデッキが出現しておりカードを手にしている
「しょうがないだろ初心者なんだから・・・」
「へぇ・・・まぁ良いわ・・・」
彼女は『動かない』のではない『動けない』のだ・・・手番の事もあるが・・・
「チュートリアルスレイブをアドベント」
俺はカードを宙に投げた、するとまるでキリコの絵に出て来る様なマネキンが現れた
「はぁ?あんた・・・ちょっと待って私・・・」
「待たないよ「約束された展開」を「チュートリアルスレイブ」にEQ(装備)「日野綾」を攻撃」
「ふざけないでよ誰があんたなんかの・・・」
綾が言葉を言い終える前にマネキンの一撃が綾を襲った
「ちょ・・・ふざけないでよ・・・」
地面に倒れた綾は俺を見上げ精一杯の強がりを言った
「えっと・・・「リターンカード『AYA』」
俺が綾の頭に手をかざし一言唱えると綾はカード状になった
「さてと・・・ここからが・・・だよな」
俺はカードを拾うとその場を立ち去った
AYAー【 tutorial ②【 Thame】 】
ガランとした部屋・・・「プレイヤーズルーム」と呼ばれる部屋だ
ここは正確には物理的に先程の場所と離れてはいない・・・同じ座標に存在する「隙間」と言える「異次元」とも言える
「アドベント『AYA』」
先程と同じ様に空中にカードを投げると綾が現れた
「ずるいわよアンタ、ニュービー(新参者)なら最初にそう言いなさいよ、そしたら私だって・・・」
「勝手にバトル挑んで来たのはそっちだろ?「デッキよこしなさいよ」って・・・」
「それはあんたが・・・・あれ?もしかしてあんた私をテイムして「スレイブ」にしようなんて考えてるわけ?」
「あんた・・・マスターって呼べよ」
「知ってる?この「プレイヤールーム」では私は直接あんたを攻撃できるって」
「一応取り説読んだからな「頑固なる拘束」綾を後ろでに手錠で拘束」
「ちょっと・・・」
綾の手が背中に回り「カチャリ」と音がした
「なんでニュービーがこんなレアカードを持ってんのよ」
「バトルの時気づけよ・・・俺「テイマー」だぜ?」
「聞いてないわよそんな事」
「まずは裸に・・・」
「待って・・・お願い拘束を解いて・・・お気に入りの「クロースカード」なの・・・自分で脱ぐから・・・
私「ストレージの半分以上クロースカードだしあんた好みの服着てあげるから・・・
うーん・・・写真・・・そう・・・写真位なら撮らせてあげるから・・・テイムとか・・・」
「じゃあ・・・解除「頑固なる拘束」」
ホッとした顔の綾の前にカードを2枚差し出した
「わかったわよ・・・「チェンジクロース」」
綾はTシャツとハーフパンツ姿になった
「あんたやっぱ変態でしょ、こんな・・・」
「「頑固なる拘束」で後ろ手に拘束・・・」
「え?」
「「契約の時計」発動・・・「10分以内に立てなくなったらテイム成功」とする」
「ちょっとやだって・・・」
綾の後ろに大きな懐中時計が現れた
「「媚薬の粘液」「強欲なる触手」をアドベンド」
「やめて・・・」
綾の頭上から液体が降りかかり足元から6本の触手が現れると綾の体にまとわりついた
「あぅ・・・ちょ・・・と・・・何を・・・」
触手は袖や裾から服の中に入ると愛撫を始めた
「触手よ・・・綾の・・・」
「わかった・・・わよ・・・・」
綾は次に何をされるのか察したらしく床に膝をついた
「あんっ・・・触手なんかに・・・いや・・・」
綾は息も絶え絶えに言った
MARIKO①
数日後、俺と綾は『不動の壁』の後ろで防戦一方だった
敵の名前は麻里子、遠距離型の『魔術師』だった
「『負けたらおとなしくテイムされる』って言うだけあって強いじゃねーか」
「マスターのデッキがおかしいのよテイムに特化しすぎで肝心の武器がないなんて」
綾が憎まれ口を叩いた
「うるさい・・・ドローっ・・・おっ」
俺は引いたカードを地面に伏せた
「コマンドカードをセット、綾に「敗残兵の盾」をEQ」
綾の左腕にボロボロの盾が出現した
「トラップカードともう一枚コマンドカードをセット・・・」
綾は地面にカードを伏せていく俺を見ていた
「解除「不動の壁」」
「へぇ・・・やっとでてきたんだ・・・」
麻里子は妖しく笑うと杖を掲げた
「トラップにコマンド・・・読めてんだよ「無慈悲な雨」発動、セットした「猛る水弾」を依り代に無判定で発動する」
麻里子の前に置かれたカードが消滅し新たなカードがセットされた
「「無慈悲な雨」の効力は「セットカードの廃棄」」
「カウンタートラップ「魔力の暴走」を発動、麻里子にダメージチェック・・・400LP、続いて
連続コマンド「暴君の搾取」を発動、麻里子の手札を廃棄」
一連のコンボで俺は麻里子の手にあった「杖」まで破壊した
「へぇ・・・やるじゃない?・・・ドローっ」
麻里子はニヤリと笑った
「手札が無ければ「依り代」が払えず魔法が使えないと思った?」
麻里子はそう言うとカードを掲げた
「「瞬間魔法「神撃の光」綾に1000LPのダメージを・・・」
「カウンターコマンド「反射する力」を発動、残った手札を廃棄して「敗残兵の盾」の効果発動・・・
麻里子を足止めする」
「そんな・・・」
最後にフッと笑って麻里子はカードになった
MARIKO②
「女に二言は無いからさっさとテイムしなさいよ」
プレイヤーズルームの中心で胡坐をかいて麻里子は言った
「引っかかると思ってたんだ」
俺は笑いながら麻里子の前にカードを投げた
「お前のデッキに入ってたカードだよ・・・まさかこんなカードがあるなんてな」
「まんざら馬鹿でもないのか・・・」
麻里子は頭を掻きながら立ち上がった
「私プレイヤーの中でもテイマーっていう変態が一番嫌いなんだよね」
麻里子は足元のカードを拾った
「即効魔法「偽りの契約」発動・・・ってね・・・」
麻里子は力なく言うとカードを破り捨てた
「テキストは「1度だけカードの効力を破棄できる」だっけ?」
「そうね・・・「ただし敵プレーヤーがこのカードの存在を知っていた場合無効となる」
一般的には「千里眼」や「先読みされたる作戦」といった「手札透視系」カードに気をつければ
良いはずだったんだけどね・・・」
「この変態本当にいやらしいカードばっかり持ってるから早く降参した方が良いわよ」
いつの間にか実体化した綾がため息まじりに言った
MARIKO③
「ちょっと待って・・・どうせ変態カード使う気でしょ?」
麻里子は俺から距離をとった
「あー・・・・諦めた方がいいよ?この人テイムカードばっかり持ってるから」
綾が数枚のカードを手にしながら言った
「『無効化の鎖』『隷属の首輪』発動」
綾が空中にカードを投げると鎖が左右から現れ麻里子の両腕を束縛しY字に立たせた
「ちょっと・・・味方じゃないの?貴女」
「しょうがないじゃない私テイムされてるし『切り裂く風』で麻里子のクロースカードを破壊」
綾は淡々と麻里子をいじめ始めた
「わかった、「ウェポンカード」あげるから・・・テイマーだと不足するでしょ?」
服をボロボロにされて麻里子も流石に焦ってるらしかった
「
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