スマッシュ!The king of ping pong ~4~
市内大会準決勝に進出した努。 次の相手は同校エースの「来宮一成」。
一方、同じく準決勝に駒を進めた電の相手は、星皇中エース「獅子渡」。 2人は準決勝を前に、決勝で会うことを誓い合うのであった。
来宮は台の向こうですでに準備を始めていた。 努も、鉢巻きを固く結ぶと、ラケットをつかみ、台についた。
「まさか、準決勝で青羽と当たるとはね。 同校だからと言って、手は抜かないよ!」 「ハイ。もちろんです!」
来宮のサーブでゲームが始まった。「いけるっ!」 確信した努は大きくラケットを振りかざし、ボールをたたきつけた。
ボールはバック側の厳しいコースに飛んだ。 努は先制点を確信。
しかし、来宮は素早く回り込み、鋭いドライブを放ってきた。 全く予想もしていなかった努は怯み、来宮は先制点を獲得。
「いくら青羽とはいえ・・・相手は来宮。そう簡単に点を取れる相手ではない・・・。」 遠くから試合を見守る須藤はつぶやいた。
「パワーはあるが、ただのアタマ打ちか・・・?須藤はなんでこんなやつを・・・」
来宮の2回目のサーブ。強烈なヨコ回転がうねりながら努に襲いかかる。 努は面をあわせてバック側に返球。
すかさず回り込む来宮。大きく振りかぶりドライブを決める。 「どうだ、努」
来宮との自信とは裏腹に、努は冷静に角度を合わせ逆サイドにミート打ちを決めた。
動けない来宮。 「偶然だ・・・。」
努のサーブ、短いナックルがバックに落ちる。 正確にツッツく来宮。 努は手元で角度を合わせ、逆サイドにフリック。追いつけない。 「そんな・・・。」 「ただの馬鹿力ではない。正確さ、繊細さを兼ね備えている。」須藤はボソリと言った。
その後もハイレベルなラリー戦が続き、11ー7で来宮は努に1セットを許した。
「青羽努... いったい何者なんだ...。この俺から7点も...,
いや、もしこのセットが様子見だったらどうする...? 考えるな、、、冷静に...。」
来宮の動揺を他所に、努は給水をしながら来宮戦の作戦を練っていた。
と、努の目に向かいでの獅子渡と電の試合が映った。
努たちと同時に試合が始まったはずであったがすでに2セット目、獅子渡が8点、電が2点であった。
「クソっ!」ときどき電は苛立ちを表に出していた。
獅子渡はやはり冷静に、まるでどこまでも見透かしているかのように、電の手のボールを凝視していた。
審判の合図で努たちの2セット目が始まった。
努のサービスが流れ込む。
来宮のドライブ。
「...やっぱりだ。」
「やっぱり、来宮先輩には癖がある。」
努は来宮のバック側へドライブ。
「バック側でのブロックがワンテンポ遅い。5球目が勝負だ。」
バチンッ!努のフォア側へのスマッシュが決まる。
9-11 2セット目を制したのは努であった。
スマッシュ!The king of ping pong ~4~