スマッシュ!The king of ping pong ~2~
輝光中 2年青羽努。 1年生で入部試験に落ちたものの、すさまじいスピードで実力をつけ、今 卓球界に舞い降りる。
そんな青羽努は入部早々、市内大会に出場することになる。
卓球をこよなく愛する少年「青羽努」が、卓球を通して様々なライバルたちと出会い、成長していく。
バチ! バチ! バチ!
「青羽・・・ 美しいフォームだ。 ドライブにも上学年に負けない回転量がある。」 輝光中卓球部監督 須藤連 。
「監督 どうかしたんですか。」 卓球部エース 来宮一成 。 「ぁあ来宮、すまない。明日の組み合わせだな。少し待っていろ・・・」
来宮は練習中の電に近づき部員を集めるように言った。「 集合おおおお!」 電の声で部員がすたすたと体育館の端に集まると、電が話を始めた。
「今監督が、明日の組み合わせを持ってくるんだが、わかっている通り、明日は市内大会だ。 いくら全国に行っているからといって、気を抜けば結果はがらりと変わる。全員、いい結果を残すように。」「はいっ!」 部員が返事をする。 一方、まだ入部2日目の努は大会の事をまだよく理解できていなかった。
「あのぉ、轟木先輩 大会って僕も出場するんですか?」
「当たり前だ青羽。お前の今の実力なら、いいところまでいけるんじゃないのか。頑張れよ。」 「は・・・ ハイ。」
―市内大会 当日―
努が参加することになった市内大会は、市内の4つの中学校が集まり、市民体育館で行われる 個人トーナメントだった。
「1~20番の選手、控室に集まってください。」 「えぇっと、、、俺は58番か。 まだまだ呼ばれないな。」
努は試合が入るまで体育館に下りて試合を見ることにした。 体育館にはたくさんの卓球台が並べられ、人工の照明がそれらをチカチカと照らしていた。体育館独特のゴムのようなにおいがする。 父と毎日のように卓球をしてきた努には、中学で卓球を始めた選手たちの動きは生ぬるいように思えた。 そんな中努は気になる選手を見つけた。
「獅子渡」 星皇中学校のカットマンで、努と同じ2年生であった。 相手は輝光中の先輩だったが、見るからに渡の実力は努が見てきた上学年生達を超越していた。
抜群に回転のかかったカット・・・ 素早い回り込み・・・ ロビーから渡の試合を見ていると、隣から声をかけられた。 「 獅子渡・・・ 2年生にして星皇中のエースになった10年に1人の天才。」 「来宮先輩、知ってるんですか?」 声をかけてきたのは来宮だった。 「去年の県で戦って、ストレート負け・・・恐ろしいよ。」 来宮は苦笑いしながら答えた。
努はしばらく来宮と話をしていた。 5分ほどすると、渡との試合が終わった先輩が体育館から出てきた。「勝てっこねぇよ・・・」その顔には悔しさすら感じられなかった。それほど力の差があったんだろう。 先輩のすぐ後に獅子渡がでてきた。 他の選手がまじまじと渡を見つめるも、渡はそれを一切気にせず、前だけを向き、二階のスタンドに上がっていった。
「50~70番の選手、集合してください。」 努の招集がかかった。 「それじゃぁ先輩、行ってきます。」 「あぁ、頑張れよ。」
スマッシュ!The king of ping pong ~2~