繭の中の私
目をそっと開けてみるとそこは暗闇だった。
何も見えないけど闇になれた目にとってはとても優しい。
そっと外に手を伸ばすと冷気が肌を撫でて来たので思わず引っ込めた。
外と違ってここは暖かく体を包んでくれる。
だけどいつか外に出なければならない。
幼虫が蛹になり、蝶なって空を羽ばたくようにいつまでも優しい世界にはいられないのだ。
私は少しずつ、だけど確実に外に手を伸ばし、冷気に当てられながら身体を起こしていく。
寒いと思いながらようやく布団から出た。
フローリングから伝わってくる冷たさは素足を冷たくし、髪をボサボサにして歩く姿は蝶のようには美しくはないけれど
クリーム色のカーテンを開けた先にある世界はどうしようもなく優しくて目を閉じてしまいそうな程眩しい世界だった。
繭の中の私