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四十五






 消灯時間に照らされる,外の窓の木立に掛けて流れるカセットテープのお話は途切れない。それぞれの一曲にせんきゅうひゃく何年を足して,かたことと聴く,その合間のお喋りは思い出話という未知の話ばかりで,一方的な質問にはたくさんの興味が尽きなかった。それを古臭いと言える年齢は小さいと思う手の平ではとても足りない,次から次を待って,傾ける。4分過ぎのフレーズには時刻表に見当たらない,甘酸っぱさもあったと言った。赤い耳はからかいもせずに,相槌ばかりを不自然に打つ,嬉しそうな二三文字に言いたいことを聞いていたりした。 
 笑い声には笑った。デジタル表示を見て,終わった今日も知った。
 動かない冷房機器のスイッチをひねって,開けてもらった運転席の窓からがいい。いないいないとする探し物をカランと鳴らして,見つけられるより良いことになりそうだった。有名なお話に出て来る前の,見上げる綺麗な話のような下を向く,観察とする男の子の冒険のようなものもあるように思えたから,月明かりに斜めになって後部に偏る座席にだって,だから座らなかった。席に着いて下さい,とすぐの隣でわざとらしくアナウンスされても,あかんべえをして,B面の覚えた一曲を歌ったり,A面の二曲を気に入ったり。タイトルの並びには気にも留めなかった,明日といわれた時間だけ,意味のある時間だけ。何度目かの真っ直ぐの道を走る。切り取られる木陰で,見える目的地までの距離を行く。
 初めて飲んだ炭酸水というものに喉をわしゃとさせてから,手渡して貰った運転席に返す前に蓋をきちんと閉めてから。
 『宇宙旅行』はまだ聞いていないだけだった。せんきゅうひゃく何年を足して,空のケースは文字を綴って閉じていた。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-07

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