広大な閉塞空間で足掻く者

ある日気付くのです。そこが自分の居場所でないことに、自分が自分で無くなってしまっていることに。確かに全ての記憶を廻ることはできるのに、取って付けるたような違和感が真実を述べているような気がするのです。あなたは本当にあなたですか?

1.
何時の日からだろう。自分がこの部屋に閉じ込められてしまったのは。
誰かの指令により閉じ込められたわけではない。
その証拠にこの部屋には外からの鍵はない。
しかし、常に内からの鍵により自分は閉じ込められてしまっているのだ。
巧妙な戦略により自分はいつのまにか看守であり、同時に囚人であるという状況に置かれているのだ。

この状況は大変厳しい状況である。
なぜなら、脱走を阻む優秀な看守である自分を欺き、まんまと脱走を果たさないといけない自分がいるのだから。
しかし、悲観することはない、看守が自分であるということは、自分をこのような状況に追いやった首謀者を看守から聞き出す手がかりがあるということだから。

しかし、自分が脱走を企ていることを看守にしられるのは不味い。
自分の存在が消されても看守が自分にとって代わるだけで真相は永久に闇に葬られてしまうからだ。
自分はこの困難なミッションをクリアし自由を手に入れ、自分を部屋に閉じ込めた首謀者に復讐しなくてはいけないのだ。

おっと。看守に計画が気付かれる前に自分は広大な閉塞空間に身を隠すことにするよ。


2.
その部屋の窓には青いカーテンが架かっている。そのカーテンは昼も夜も関係なく開かれることはない。
外からの光の進入に対抗するように部屋は、蛍光灯の青白い人口光でカーテンが閉じられていても薄暗くはなかった。
だが、窓は開かれているようで、外からの風がカーテンを揺らしていた。
頬がこけた男が、モニタに吸い込まれるように、そこに映し出されている数字がコロコロ変化する表を見つめていた。

くそう!
上がるな下がれ!
後、2ティック、反転しろ!
来るな!
速い、食われる、だめか。
あ・・!!
やられた!
くそう!20万か。
エントリして30分かよ。
くそう、ついてない・。
だめだ、寝ろ。

男は、マウスから手を離し数字がコロコロ変化するモニタの画面をそのままに放置し、
椅子から立ち上がりベットにダイブした。
横向きに寝転がり丸くなって目を閉じた。

少し時間が経ちモニタにはスクリーンセイバーが写し出されていた。
男の意識も夢の中へ落ちていっているようだ。
外の光はよりいっそう力強さをまして部屋に侵入しようとしているようだ。
相変わらず、青いカーテンは風に揺れていた。

広大な閉塞空間で足掻く者

未完、執筆中、随時更新

広大な閉塞空間で足掻く者

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-10-28

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