イダテン同盟12

イダテン同盟12

 僕なんか生きている価値がないのかもしれない。逆に僕が死んでも悲しむ人はいない。むしろ喜んでくれる。
 先生はいつも自分だけを殴ったりしてくるから、今日も顔が腫れている。どうせ世の中にいい人間なんていない。いい大人なんていない。いい友達なんていない。
 最近、イダテン同盟とかいうヘンな同級生たちのグループがいるけど、所詮僕を救うことができない。
 どうせなら僕が自殺した理由をイダテン同盟のせいにしても面白い。いや、そんなことする理由もないし、第一、遺書にあの教師のことをかけなくなる。
 どうせなら、一回、イダテン同盟に相談してみるのもいいかもしれない。奴らのちからがどれくらいなのかも見てみたい。



 チリン、チリン   チリン、チリン

アキヒトの所にメールが届いた。マモルからだった。それは自殺を考えている。自分に体罰をしてくる教師を遺書に書いて死んでやろうと思う。

と言う物だった。
次の日、アキヒトたちは話し合ったそして、作戦を考えるヒマもなくアキヒトは、怒った。それは教師の

「人がそんな簡単に命を無駄にできるわけがない。自殺?やれるものならやってみろ!」

と言う言葉によってだった。それは自殺を考えているマモルに向かって言った言葉だった。アキヒトの何かがブチギレた。

「あん?今なんて言った!やれるもんならやってみろ?本当に死んだらどうすんだこのクズ教師!」

「おい、アキヒト!やめとけよ相手は教師だぞ」
そんなクラスメイトのことばも無視してアキヒトは、続けた。

「生徒のことを考えないようなアンタみたいな腐った外道がノコノコ教師づらしてんじゃねぇーよ!」

アキヒトの罵声は教室を静まり返した。
「おいっ!!今なんて言った!教師に逆らってんじゃねぇーよ」
しかし、教師の方も負けてはいなかった。アキヒト以外の生徒は皆ビビりあがった。
相変わらず教室に沈黙が走る。

 突然、教師がアキヒトに、つかみかかった。クラス中は、あっ、とした。
 殴られる誰もがそう直感した。しかし

アキヒトは、教師の腕の下をくぐってそれをかわした。今度は左手が飛んできたがアキヒトは、それを知っていたらしく、簡単に避けてしまった。

 それが原因で教師は前方に、でーん、と転んでしまった。

「・・・あららぁ。それが生徒を自殺に追い込む奴の殴りかよ」


 一ヶ月後だった。教育委員会から、そいつはクビを言い渡され、アキヒトはみんなに英雄とよばれた。
 肝心のマモルはというと、自殺を考える原因となった教師が消えたので、ずいぶん気持ちが楽になった。

 問題なのは、生徒が自殺を考えている事ではなく、それを考える原因となった事柄、例えばイジメや体罰問題。

 そんな荒れた世の中を変えようと頑張っている人々は結構いるもんだ。でもそれが無くならないのが今の現状だと、アキヒト達は知っている。

イダテン同盟12

イダテン同盟12

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-02-06

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