言葉の綾
あなたの残した言葉の意味が
大人になってようやくわかるようになった
恋は、欲の裏返しと一緒
その人が欲しいから、どうしようもなく苦しくなるんだと
そういう顔で話したあなた
笑顔や涙とか、香水の匂いとか
その人の肌の温かさとか、やわらかさとか
その人の全部が欲しくて欲しくて、たまらなくなるんだと
そういう顔で、話してくれた
そのときのわたしの顔は、どんな顔をしていただろう
ただ、泣いていたことは間違いない
いい人でいよう、せめて彼の前では
こうやって他愛もないことを、普通の気持ちで受け止めてあげようとしていた
とげのある思い出
その人に注いだやさしい言葉
それが綾になって
それにヨワク絡まっているような、そんな心地がする
あなたがほしいわ、という問いには
わたしもほしいわと答えるのが妥当と思う
言葉の綾