リセット法
初めて書きます。会社通いながら合間に書こうかとおもいますので更新遅いと思います。アドバイスお願いいたします。
リセット法発令
ジリジリジリジリジリジリジリ
またこの音だ
毎朝六時 決まってこの時間に悪魔の叫び声のような音がなる
(もう朝か…)
鉄のように重いふとんをどけて 前原健二はいつもの行程に入る
六時五分に顔を洗う その五分後にトイレにいく トイレからでるとテレビをつける
いつもどうりの朝
コーヒーをいれながらふんわりおいしいなどと殺し文句がかかげあげられている五枚で128円の食パンをヒョイと一枚取りだす
慣れた手つきでお気に入りのピーナッツバターをたっぷりと塗った食パンを頬張ろうと口をあけた
そのとき
(日本国憲法第12458条【リセット法】が本日早朝六時に 発令されました)
ポカンとした口を開けたまま音のするテレビの方へ視線を移す
そこには総理大臣がマイクの前に肘をつき、不気味な笑みを浮かべて座っていた
(日本国民のみなさんおはようございます。我々政府は、不況に次ぐ不況の現代社会に一筋の光を差すべく苦渋の決断をいたしました。経営者の皆さま、労働者の皆さま、この【リセット法】に基づきより良い日本帝国を築いて行きましょう。【リセット法】とは…)
開いた口をグッと閉めてテレビに釘付けになる
(もう一度言います。【リセット法】とは簡単にご説明いたしますとあらゆる分野の日本企業のみなさまの職責を一度リセットいたします。一人辺りのもちてんは20点です。その後一週間、国家審査員を配置し、仕事量、人格、能力などを厳正に審査し、人事をしなおすというものでございます。尚、その一週間中の審査のもとこれからの日本帝国の発展に障害となる人物すなわち0点となってしまった場合、政府決定権のもと即日死刑といたします。皆さま、一週間自分の能力を十分に発揮していただきますようよろしくお願いいたします。それでは)
ニヤリと不気味に笑う総理はそのまま画面から消えていった
(なにいってんだ、いみわかんねぇ)
健二はつぶやきながら残りの食パンを口に放り込む
どうせテレビの企画かなんかだろ、くだらねぇ
ネクタイを締め スーツの上に茶色のコートをはおうと
(いってきます…)
誰もいない部屋に小さく呟いて重い扉を開けた
困惑
やべぇまにあわねぇ
階段を一段とびでかけおりていく
白い朝露の残る道を走り抜ける
よく吠えるベンチャーなどとセンスのかけらもない名前の犬がいる家を左に曲がるとお目当ての電車が停車している駅が見えた
(まっ……て……く…れ…ハァハァハァ)
必死に走る健二をあざわらうように 電車はどんどん小さくなっていった
(ハァ…ハァ…ハァ…くそっ今日も…だめ…だったか)
心臓がいたい
体が燃えるように暑い
毎朝つづけている50メートル走だ
田舎のこの駅では次の列車まで一時間待たなければならない
健二にとってあの電車に乗れなかったということは遅刻決定を意味するのである
健二は昨日もかけた柳田課長への連絡をするべく茶色いコートの右ポケットから携帯を取り出した
(課長すみません、ちょっと朝から体調悪くて…少し遅れます)
『前原またかぁーあれだけ毎日体調管理だといってるだろう、それに俺はもう課長じゃねーぞ、あーあ、お前早速減点1だな。部長には俺からゆっとくから…、あっもうあの人も部長じゃないか、まあいいか、自慢の足で新幹線追い越してこいよ』
リセット法