鬱な僕と優しいこの町

僕と朝

乱雑に散らかりきっている部屋に置いてある時計は空気を読まず、律儀に7時30分を指している。

ブラインドを締め切っている俺の部屋は朝だというのに、真夜中のように薄暗い。

また、今日も一日が始まるのか。

「死のうかな…」

おもむろに、ベットから極限まで片腕を伸ばした。腕がプルプル震えてやがる。
なんとか床に置かれた食器入れの中から、ちょっと錆びた包丁を引き寄せた。

喉元に金属特有の冷たさが伝わってくる。

この包丁あと5cm進めたら死ねるのかな。

「じゃあね、みんな」

右目から出る涙粒が頬を擦って、ムズムズする。

この世界で生きていくことに疲れた。包丁を押してしまおう。

キーーーーーーーーン
俺の意思とは裏腹に包丁が床に落ちて、不協和音を奏でた。

死にたいわけがない。だが俺の人生は袋小路に迷い混んでしまって、もはや死しか逃げ道が無いようにすら感じる。

「あーーーーーーーー」

枕に顔を埋めて叫んだ。全く枕に抑えられてない俺の声が漏れまくる。

「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい」

俺は何がしたいのかなんて俺にも分からない。ただ、そう叫び続けずにはいられなかった。

鬱な僕と優しいこの町

鬱な僕と優しいこの町

太陽が沈み始めて薄暗くなってきた公園に真っ白な雪が降る中、俺は公園にある唯一の遊具であるブランコに腰を落とした。 「はぁ……」 なんでこんなことになってしまったんだろう。俺の人生はどこで間違ってしまったのか。 自販機で買った120円のホットコーヒーを開けると、コーヒー独特のほろ苦い香りが俺を包んだ。 「甘い……」 ブランコの冷たさとコーヒーの暖かさが俺の体の中でぶつかり合う。 「失敗は生まれたことかな」 うなだれると当然だが、地面が見えた。砂の大地にポツポツと俺の目から流れる水滴が落ちて、円形の模様が出来た。 「うっ、うぐっ…」 大声で泣き叫びたい衝動にかられる。俺は手を噛んで、鳴き声を漏らさないようにした。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted