それでも僕は

二人の初々しい青春ショートストーリーです。
ほんわか系ですたぶん。

冬の日って寒い。
帰り道コンビニで肉まんやらピザまんやら食べたくなる。
いつも君はそこでどちらを食べようか悩むよね。
結局僕が肉まんで君がピザまんで、半分こして食べるんだ。
ほんと、美味しそうに食べるよね。
なんで半分こして食べるのか…君は深く考えてくれたことはあったのかな。
僕が優しいだけなんて思ってたのかな。

僕と君は近所で学校も一緒に行ってたね。
僕は自転車で君を後ろに乗せて登校してた。
本当はダメだけど。
君はただ風が気持ち良かったのかな。
僕は毎日肩に添えられる手に、風どころじゃなかったよ。

高校に入って俺はよく女の子に声をかけられるようになった。
僕っていうのも似合わなくなった。
君は「モテるんだから早く彼女つくりなよ」って。
なんで俺が彼女いないのか君には理解できないみたいだった。
お菓子業界の策略バレンタイン。
俺は全部断ったよ。君の以外。
でも君は本命チョコなんて概念なかったんだろうな。

大学はばらばらになった。
でも、朝は絶対言葉を交わしてたね。
偶然だと思ってたかな。
毎日聞く知らない君に焦りを感じていたのは、ばれてたかもしれないね。
急に手なんか握ったら驚かれると思ったのに、君は笑って握り返してくれたよね。
兄弟みたいだなんて、思ってたのかな。

そして今、
強く抱き締める。
君は少し戸惑っている。
顔をのぞきこむと、少しだけ頬が染まっている。
これだけしても、まだ気づいてなかったとしたら君は本当に鈍いなぁ。
それでも俺は…
僕と言っていた時から…
それでも…好きだよ。

あなた

冬って寒いよね。
そうすると、どうしても温かいものをコンビニで買いたくなるの。
でも私優柔不断だから、肉まんもピザまんも選べなくって。
いつもあなたは一個ずつ買って半分にしてくれた。
半分にして差し出してくれる時の笑った顔が可愛くて。
本当は選べるときも選べないふりをしてたの。
これを言ったら怒られるかな。

一緒に学校行ってたね。
自転車の後ろに乗せてもらって、あなたは一生懸命こいでたね。
自転車で良かった。
ほてった顔があなたに見えなくてすむんだもの。

高校に入るとあなたは身長も伸びて、声も低くなって男の人になったね。
女の子たちがかっこいいって噂してたよ。
どうせ知らないんだろうけど。そんなのに興味ないんだろうなって。
「早く彼女つくりなよ」って。
私多分上手く笑って言えなかった。
そんなの本心じゃなかった。
バレンタイン、女の子の大事な行事。
毎年あげてたから分かってなかったんだろうな。
毎年頑張って一個作ってたことなんて。

大学はばらばらで、会えなくなったらどうしようって思ってた。
朝出るときは、会えますようにって。
朝会えるだけで奇跡だなんて甚だしいけど。
横に並ぶと背がまた伸びたなって。
また大人になっちゃったんだなって。
置いていかれるって思ってた。
急に手を握られたとき、あなたはちゃんと横にいてくれるんだって安心したよ。

そして今、
抱き寄せられて固まってしまった。
どうしたの、なんて声も出ない。
友達にこんなことしないよね、あなたはそこまで鈍感ではないよね。
鈍感だったとしても、私は…。

それでも僕は

青春を書きたくなりまして、友人との会話をもとに青春ショートラブを書いてみました。
結局この二人はどっちも鈍感という結論にいたりますね。
もっと早くきづけよ、と作者は思いました。

それでも僕は

気づかなくても、そばにいてくれるだけで。それだけで十分なんだ。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-28

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  1. あなた