愛!愛!愛!愛! I'm ロリコン?(1)
やつ現る!
『ってことでよろしくー』
『ちょ、 ちょっとまてい!』と言おうとする前に電話は虚しくも意図的に切られてしまった。
今のは母からの電話だったのだが、いかにも母らしいと言えばそうなのだが、明らかに唐突すぎる内容だった。
うちの母といえば、半年前に『ちょっと買い物行ってくるねー』といった感じに、『明日からアメリカに行くねー』と言い、本当に行ってしまった。
まぁアメリカで働いている父親のとこに行っているらしいのだが、かれこれ半年経っているが日本に帰る気はなさそうだ。
まぁ母はそんな感じの人だ。
どんな人だよって1人ツッコミしたくなるが、簡単に言うと何をやるにもノリが軽い人だ。いや軽すぎる人だ…
母から育児放棄された結果、高校二年の俺は一人暮らしをしているわけだ。
と言っても隣町にいる祖母が、毎週土日に来て家事全般をやってくれるので、特に不足無い一人暮らしをしている。
だが、来週からは二人暮らしになるんだとさ。
先ほどの電話の内容をまとめるとこうだった。
バツイチで現在独身の叔母(母の姉)がいきなり何を思ったのか自衛隊に入隊するとか言い出して、一年ほど子供をみてほしいとうちの母に頼んだのだ。
いや、国を守る前にあんたやることあるでしょ?と思うとこだが。
うちの母も母だ。
『今、息子一人暮らしで部屋空いてるから全然いいよー』と俺に相談もせず決めてしまったのだ。
まったくだよ…。ちなみにお子さんは小学四年生だとさ。
ポケモンの話でもしてやりゃいいのか?
まぁいい。この家の絶対的権力者は俺であって、居候の分際に気を遣う必要はないだろう、と楽観視していた。
そしてその日を迎えた。
『ピンポーン』
ふっ、来たか居候め!
『すみませんでしゅの』
え⁉…
人間マジで驚くと本当に何も言えなくなるんだな。
『ねぇねぇだれもいないのでしゅか?』
インターフォン越しに聞こえてくる声は、ひょっとして、まさか、まさか…
ドタドタドタ…ガチャ、ガラガラガラ…
『はじめまして、愛でしゅの。よろしくお願いしますなのです』
予感的中…
居候男ではなくて、居候娘だった…
俺は今まで従兄弟にあったことはなかったのだが、完全に男の子だと決めつけていた。
なぜなら俺が一人暮らしだと知ってる上で、叔母も頼んでるわけだし、うちの母も了承しているから…てっきり男の子だと…
『わー、お部屋がいっぱいあるのでしゅね!』
愛とゆう女の子は既に家に上がっており、とてもはしゃいだ様子だ。
俺といえば、立ちくらみに耐えるのに必死だった。
小さくつぶやく。
これからどんな生活が待ってんだか…
続く!!
愛!愛!愛!愛! I'm ロリコン?(1)