あき


どこか寂しい あのひとは

風にゆられて やってきた

ギター片手に ぼうしをたずさえ

マントの似合う キタカゼ小僧

上からさすらう くすんだみどり

枯れたベンチの 木の下で

なみだのメロディー 奏でながら

しずかに時を まっている



ふいに

空から舞いとどく 白い鐘の音にのせて

まっ赤な両手のすき間から

あのひとの声が



きこえる

あき