いぬのおまわりさん

迷子の子猫は今日もまた交番に来ていた。
犬のおまわりさんが家を探してくれるからだ。
しかし近頃はおまわりさんに会いにいくことが一番の目的になっていた。

はやる気持ちをおさえ足早に交番に辿り着くと、あのおまわりさんの姿はなかった。

動揺を隠しきれないでいると、見慣れぬ巡査が声をかけてきた。
おまわりさんは、と尋ねると、
「ああ、あの方なら警部補に昇進になったので、もうここにはいないんですよ。
僕が代わりにご用件お伺いしますけど」

巡査はにこやかな笑みを浮かべて子猫に接したが、
子猫はいいです、と言いくるりと巡査に背を向けた。

向かう当てもなく歩き出した子猫には、いつしか冷たい風が吹きつけ始めていた。

いぬのおまわりさん

Twitterでこのような内容のフレーズが添えられた画像を以前見ましたので、
文章にしてみました。

いぬのおまわりさん

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-25

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