とかげ

とかげにわたしは会いに行くいつかきっと

電車にゆられているとなんだか自分がすごくなったような気持ちになる。
町や人が窓ごしに見え、なんだかそれらがすごくちっぽけにみえてしまい
ああ、今ならなんでもできそうだとか あのボンヤリとした太陽に触れることもできてしまいそうな気分になり危ない。
まあ そんなふうに思ったって私は何もしないのだけれど
めんどうくさいから。
いつだって私は何かを諦めていてそれを軸に生きているのだ

しかられた
「なんで君はソウナノ?」
「そんなのシラナイ」
その科白、私は私に問いたいのに先に問われてしまった
フト下をむいたら自分のセーターが沢山の小汚ない毛玉を生んでいて心臓がキリキリした。
ああ い・や・だ!
そしたら次は目から透明なうろこがボロボロ流れた。

なんで君はソウナノ?
そんなのシラナイ
そんな淡々とした会話はとあるカフェでのやりとり
唐突にとかげが私に問うたのだ
ちなみに‘とかげ’とは、あのとかげではない。
人間のとかげ23さいの男である。

とかげは普段 人に対してあまり意見を発しない男だ
とかげと とかげが大切な人や物がきらきらしていて
幸せそうならば、よしとするとても気の優しい男である。
そんなとかげが人に私に対して意見した。

とかげ、君は、わたしはきらきらじゃない?しあわせじゃない?
からからにひからびてしまった梅干しのよう?

とかげ

とかげ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-25

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