リバースゲーム#8
#8 リクア・魔帝戦争
魔帝国からの襲撃から、約一時間立つこと。00―Ⅰは危ないところをセカンドに助けられる。その後市街地の中を進む二人は、軍本部である中心部の塔に向かう。そこへセカンドがクレナティアに気付く。後にクレナティアとの交戦となるのだった。その途中で、ファムクスと合流するのであった。
― 《戦人―イクサビト―》…、それと《魔王》の残した《最後の兵器》…。―
そのクレナティアの言ったことに疑問を抱くファムクスなのであった。その後、クリストと合流する。クレナティアとの激闘の末、アラルスと合流するのであった。そして、クレナティアは自害してしまうのであった。
「嘘…、クレナティア…!?」00―Ⅰはクレナティアのもとに寄り添うのであった。そのクレナティアのやった行動とその衝撃的なものをまのあたりにしショックを受けてしまうのであった。その体をよろけながらクレナティアのもとに近づく。
「ファムクス、この子と知り合いなのか?」クリストが尋ねる。
「…ああ…、アラルスと一緒に暮らしている。」と。
「アラルス…、今まで何処に?」セカンドが隣にいるアラルスに問いかけるのであった。そしてアラルスは00―Ⅰを暫く見て口を開くのであった。
「…ゴメン…、今、その話は止めて。」そう言い00―Ⅰが寄り添う中、やがて、クレナティアの肉体は光に包まれ、粒子の様なものに変わり消滅していってしまうのであった。
「嫌…だ、クレナティ…ア」00―Ⅰはそのクレナティアが完全に消え去ってしまった後も、泣いている様子なのだった。アラルスはやがてそれを見ていると怒りが込み上げてきたようであった。
「あの…《バカ兄貴》め…、いつか殺すつもりでしばいてやる!」とアラルスは決意したのか怒りの余り呟くのであった。
「00―Ⅰ…立って、行こう。」
「…。」00―Ⅰは歩くのであった。そして、軍本部の中心部である塔へと入って行くと、惨劇の跡が目に飛び込んでくるのであった。クリストが目の前の遺体を見ると怒りをあらわにするのだった。
「《大死神》はここまでするのか!?」
「《大死神》は《そういう奴》という事さ。あのバカ兄貴…。これは、冷静になれはしない、そしてそれが、恐ろしくとも感じるだろう。」そう言いながら先へと進んでいくのであった。
「この塔の最深部にいる…。」その横からセカンドが何かを感じたのか呼びかけるのであった。00―Ⅰは何かを唱えているのであった。
「《見えた》!確かに、この奥にいるよ《大死神》が…。」00―Ⅰが言うとアラルスはポケットから、小さな何かを取り出し、いくつかボタンを押すと、何かを察知したのか音を立てるのであった。
「どうやら、本当の様であると考えていいのか…。」そう言いクリストは剣を取り一歩踏み出すのであった。
「ああ、《大死神》はこの先にいるよ。急ごう。」アラルスに呼びかけられると一行はアラルスについて行くのであった。《大死神》のいる最深部に抜かう最中、アラルスに異変が生じるのであった。
「お、おい、アラルス、どうした!?」アラルスは何とか立ち上がるのであった。
「だ、大丈夫…だ。心配ない。こ、この頃データをまとめていた疲れがたまっているのだろう…。」アラルスは答えるのであった。
「嫌…、ここから先、怖い…、嫌だ…。」00―Ⅰが何かを怖がるのであった。
「このさっきからする気持ち悪い波動は《大死神》が放っていたのか。」セカンドが倒れそうな00―Ⅰを支えるのだった。
「…、クレナティアは消滅したか…。久しぶりだな…アラルス…、我が妹よ…。」その声にセカンドとアラルスは聞き覚えがあるのであった。
「よお、これは、これは、久しぶりですなあ、《大死神》さんよお。何だ?久しぶりに会って早々、気が立っている様で?」とセカンドが答えるのであった。
「わざわざここまで出向いてやったのに、何だ?その態度は《ナノロイド・プロトタイプαβスタイル》。あの時処分した筈なのだが…、そうかあの後アラルスが《核》を再生、していたというわけか…、違うか、アラルス?」とアラルスを更に恐怖に陥れるのであった。
「貴様は惨いことをした。更に、現在では《リクアの民》をも連れ去り生体兵器へと変えた。皆と合流する前に見てきた。」とアラルスは答えるのであった。
「…、アラルスお前にまた《魔王》へと戻り、《グラビトン》を動かせ。あの者達は《お前にしか動かせない》ものでな。私が命令しようとしても《生体コード》がなければ、《アレ》は動かぬ。無論、お前が素直に我のもとに帰ってくればお前の思っている願いを何でも聞いてやろう。」エーシルはアラルスの目の前に現れ言うのであった。
「アラルス、奴の言葉に耳を傾けるな!!」ファムクスが必死に呼び掛けるがアラルスにはその声は届かなかったのだった。するとエーシル目掛け一筋の光が顔を目掛けて飛んでいる。エーシルにそれを掴まれるとその正体を現すのであった。それは一本の矢であった。エーシルがその矢が飛んできた方向を見ると00―Ⅰが弓を構え持っているのであった。
「…餓鬼…?否、悪魔…か。そうか、噂で言う《デビロイド》…、否、クレナティアが言っていた《魔王》の残した《最後の兵器》か。名前は確か…、《ゼイン=ルシ=ファー=オブレリック》だったか…。《魔王=アラルス》よ、お前が造った兵器と聞いてはいたが、普通の少女にしか見えぬ…。」そう言い、アラルスをまるで重力が重たくなったかの様な攻撃を食らうのであった。
「く…!あいにく、その子は《愛玩用に造っただけ》なのでな。《鍵として使う》のは《止めた》よ。」アラルスは何とか立ち上がり答えるのであった。
「てめえ!」その時ファムクスがアラルスの目の前に大剣を構えて守ろうとするのであった。
「邪魔だ。」そう言うとエーシルはファムクスを突き飛ばしてしまうと、小さな剣を一つ取り出し、ファムクス目掛け襲いかかるのであった。
「…!」目を開けた瞬間、目の前にはクリストがファムクスの前で大量の血を流しその刃はクリストの身体を貫いている。
「ぐぁはっ…!」クリストの体から小さな剣が抜かれるとクリストは血を吐き倒れてしまうのであった。
「ク、クリスト…おい、クリ…スト…嘘…だろ?なあ!?」ファムクスがクリストの身体を揺らすが反応がなく、息もない。ファムクスには心臓の音を聞こうとするが、聞こえないのであった。クリストは、息絶えてしまったのであったのだ。ファムクスは怒り大剣を構えエーシルに掛かろうとするのであった。
「旦那、抑えて!」セカンドの言葉を聞く耳を持たずに、ファムクスの怒りは頂点に達した様でエーシルに大剣を振るうのであった。エーシルは同時にセカンドを何らかの術式で消し去ってしまうと跳ね返してしまうのだった。
「無駄なこと…、貴様は…そうか…、思い出した。《フェツルドゥス》で見逃してやった獣人の餓鬼か…。ここまで戦って疲れぬとは、な。あの時やはり殺しておくべきだったよ。仕方のないこと。私があまかったよ…。」エーシルはファムクスの攻撃をかわすと口を開く。
「ああ、あの頃は礼を言うぜ。おかげで《フェツルドゥス》から解放、ここまで強くなれた!」ファムクスは口を開く。アラルスはふと感じるのであったそして思うのだった。自分の兄にファムクスが互角に戦えることにアラルス自身恐ろしくもあるという事を。
「これで終わりだ。時間の無駄なのでな!」エーシルはファムクスは壁に激突するとそのまま立ち上がらない。アラルスは急いでファムクスのもとへ行きエーシルに顔を向けるのだった。
「兄さん、この人にこれ以上手を出すのであれば、私が許さない!」アラルスはナイフを取り構えるのであった。
「お前は、何故この男をかばう…以前のお前は《そうでは無かった》筈であろう?」
「《あの時の私は何処か狂っていた》!」
「ならば、手間をかけても連れ戻さないといかぬか…。ならば、そうするまで!」エーシルは更にアラルス目掛けて更に攻撃するのであった。
「!」アラルスは重力が掛かったかのように動きが封じられる。
「アラルス…!」その時、00―Ⅰに異変が起きるのだった。
「《ゼイン》!!」アラルスは00―Ⅰにその名を呼ぶ。その後の事。
「…、コードを確認。《ゼイン=ルシ=ファー=オブレリック》…。これより躯体及び、《マザーシステム》に異常が確認されたため、《新たに追加されたプログラム》を起動開始…《躯体モード》を《ノーマルモード》…敵を察知…、《単体》と認識…《躯体モード変換》…《ノーマルモード》から《デビルモード》へ変換…、《躯体モード》開始…。」その途端、00―Ⅰの姿が変わって行くのであった。
「ほう…、《愛玩用》に、《例のデータ》を入れ、それが《自動で》起動した。というわけ、か。お前は善人の顔を持つが所詮、《魔帝国》の者でしかない、か。」エーシルはその00―Ⅰの変わって行く姿を見て口を開くのであった。
「攻撃を開始…、《マザーシステム》を保護しつつも対象への攻撃を開始…。エネルギ―チャージ開始。ハイスピードチャージで対応。チャージ完了常時掃射可能。警告。《マザーシステム》は直ちに退却せよ…。」その途端、アラルスの身体は重力が掛かっていたかのように重たかったのが軽くなっていたのであった。
「直ちに停止しなさい《ゼイン》!!」アラルスは姿の変わった00―Ⅰを止めようとするのであった。
「命令を確認…、了承不可…。《マザーシステム》を確認できず…。《単体認識を継続》します。」アラルスの言葉に従わない00―Ⅰは攻撃を開始するのであった。
「そうか…、その《マザーシステム》が《誰なのか》知らぬみたいだな?」そのエーシルの言葉にアラルスは悔しさが増すばかりなのであった。その後も姿の変わった00―Ⅰは攻撃を開始、そして更に攻撃を続けるのだった。
「敵、全滅を認めず。これより《最終躯体モード》へと移行…!警告、システムに異常発生。解決策を検索中…、ロスト…、再検索開始…。エラー…!」そう言う00―Ⅰは突然倒れてしまうのであった。
「フフ…フハハハ…。あの悪魔に《マザーシステム》を入れたのは間違いであったな。アラルス…、大人しく私に従え。」アラルスは諦めた表情を見せるのであった。
「…るよ…。」アラルスはそう小さな声で答えるのであった。
「そうか、ようやく戻る気になったか…良かろう。お前を《魔王》復帰させよう。」
「でも…、この子と、この人には手を出さないで欲しい…、戦人―イクサビト―は生きているよ…でも、殺さないで欲しい…、勿論、《ゼイン》にも…。」そしてエーシルは間を置き考えるとようやく口を開くのであった。
「……よかろう。この男は後九十分で気が付くであろう…さあ、いざ《魔帝国》へ帰るぞ。」そう言った途端エーシルの背後の空間に渦の様なものが現れ、エーシルはその中へと入って行くのであった。アラルスはその倒れた者達の姿を見つめ、その後その渦の中へと入って行くのであった。その九十分後のこと。ファムクスは目を覚まし傷ついた体を何とか起こし辺りを見渡すのであった。これは一体どうしたものかと思うのだった。それはアラルスがいないことに気づいたのだ。
「00―Ⅰ!?」00―Ⅰに近寄ると抱きかかえて息を確認するとどうやら生きていた様子であると知るファムクス。
「…。」00―Ⅰを見ると意識不明であった。その後この魔帝による攻撃が終結へ、同時に終わりへと近づくのであった。
#8 End
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