見えていない

ここはいつも明るい
僕は月明かりを知らない
明るい事は良い事だ
明るいところから見ている
明るい事は暗い事だ
明るければ明るいほど
暗いところは暗くなる
僕は月明かりを見れない
明るいところで生き
明るいところで死ぬ

明るいのは何か
照らされているのは何か
僕の身体か
はたまた別のものか
いややはり
僕は照らされてなどいない
しかし暗く暗く堕ちていく
それはきっと正しい

ようやく見えた星々や
届くはずのない月明かり
真に見るべきものと
真に見れないもの
痛みを抱えながら
星々に手を伸ばす

空っぽの眼に映るのは
ただそれだけ

見えていない

見えているものと、見るべきもの。

ありがとうございました。

見えていない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-24

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