ある日


以前働いていた店舗で
僕が採用したアルバイトの男の子から、
連絡があった。
なにやら報告したい事があるとかで。

とある居酒屋で待ち合わせした。
とりあえず、ビールで乾杯。
そういえば、この子ももう21歳。
最初に会ったのは16歳になったばかりだったな。
今は就職して公務員に。

父親のいないこの子に、酒もタバコも教えたのは僕だったな。
ちなみに女は教えてない。
早熟な奴だったから。

色々と、世話をやいたり相談に乗ったりしたっけ。

軽く飲みながら、そんな事を思い出していた。

『で、話なんですけど』
と彼は切り出してきた。

『今度、俺結婚することにしました』

『一番最初に報告したくて、よびだしたんすよ』

その言葉に僕は、
知らないうちに涙をながしてました。

その時、僕自身気がつかなかった感情に
気づきました。

あぁ彼に対して感じてた、
友人や後輩を越えてた感情は、
肉親への愛情だったんだと。

一時は恋愛感情なのかと勘違いしたことも
あった、
この気持ちは
僕にはいなかった、弟に対するものだった。

心が温かくなった。

今まで誰にも言ったことのない
心からの言葉がでた。

『おめでとう、良かったな』

ある日

ある日

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-23

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