空想
さよならも言えず、愛してるも言えず、私は静かにあなたの世界からいなくなる。
目を閉じ、耳を塞ぎ、私を拒絶するあなたを抱きしめる事も出来ない。
自ら傷付け、赤い血が滲む頬に触れる事も出来ない。
こんなにも愛おしいのに。
あなたとの未来を、私は幾度も夢見たのに。
「きみは、だれ」
その儚い言葉に、私はさよならと心の中で呟く。
あなたを守れなかった自分を憎んだ。
こんな運命にした神様を恨んだ。
何よりも、醜いあなたを許さない。
歪んだ心がそう誓った。
空想
いつか形にしようと決めているお話のまえがき。
いまはまだなにも伝わらなくても、いつか必ずあなたに届けます。