キャンバス
書き散らし。
透明なキャンバスをもらった
それは自由に使って良いものだったそうだ
でも僕はそんな事知らなかったから
言われるがままに筆を動かしていた
指示されたとおりに描いた何かは
とても好評だったようだ
ずっとその絵を描き続けなさい
誰とも知らぬ声は鼓膜に染み付いた
時が経った
僕は僕のものではないキャンバスを見た
絵の具を投げつけたようなその絵は
同じキャンバスに描かれていた
僕も同じ絵を書いてみたくなった
声に逆らって絵の具を手にとった
同じ絵を作り上げたと思っていたのに
僕の無機質な何かがキャンバスに待っていた
最初に絵を書いてから何十年もたった
たくさんのキャンバスを見た
世界は新しい絵の具で溢れかえっているのに
僕のキャンバスはずっと変わらなかった
声は
喜んでいる
キャンバス
テーマを持って書いたつもり。