キャンバス

書き散らし。


透明なキャンバスをもらった
それは自由に使って良いものだったそうだ
でも僕はそんな事知らなかったから
言われるがままに筆を動かしていた

指示されたとおりに描いた何かは
とても好評だったようだ
ずっとその絵を描き続けなさい
誰とも知らぬ声は鼓膜に染み付いた

時が経った
僕は僕のものではないキャンバスを見た
絵の具を投げつけたようなその絵は
同じキャンバスに描かれていた

僕も同じ絵を書いてみたくなった
声に逆らって絵の具を手にとった
同じ絵を作り上げたと思っていたのに
僕の無機質な何かがキャンバスに待っていた

最初に絵を書いてから何十年もたった
たくさんのキャンバスを見た
世界は新しい絵の具で溢れかえっているのに
僕のキャンバスはずっと変わらなかった


声は

喜んでいる

キャンバス

テーマを持って書いたつもり。

キャンバス

僕とキャンバスの詩。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-01-19

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