研究部
割と真面目な中学三年生の主人公には悩みがあった。
身長が高いこと。見た目のおかげで色々と巻き込まれていきます
第一話 研究部員
キーンコーンカーンコーン...
6時間目が終わって帰りの準備をする。
天気が良くていつも通りの生活。
暇だなあ、なんて考えたり
とにかく平和が良いなあ、なんて
考えていた僕の名前は、
桂 勇也
中学三年。
別に目立つ訳でもなく地味だなあと自分でも思う。
そんな僕には悩みがある。
これはずっと僕の悩みである。
それは、背が高いこと。
中学三年生にして身長198cm
飛びぬけて高い身長が僕の大きな悩みである。
動くのが面倒くさいのに高い所の作業をよく頼まれるのが嫌だからだ。
「なあなあ、あれやってくんね?」
そう声をかけてきたのはクラスメイトのチャラ男くんだ。
教室の壁に掲げられた一致団結というクラス目標の紙が取れかけている。
椅子に上って貼りなおせばいいじゃないか。
そう思いながらもなかなかいかついチャラ男くんの頼みは断れず
「あー、えっと、分かったやるよ」
「まじ!?サンキューあれ掲示係の仕事なんだけどめんどくせえから、助かるわ!」
そう言ってチャラ男くんは放課後エンジョイする為に急いで教室を出て行った。
・・・また断れなかった。
まあ受けたんだからしょうがないか、と開き直り
教卓の中にあるテープを取りに席を立つ。
さっきまでクラスメイトがいたのに教室にはもう僕一人だけになっていた。
ロマンチックに夕日が窓から射し込む木造の教室は青春でしか味わえない切なさを感じさせた。
・・・あれ?
教卓の中にはテープと、なぜか分厚い本が置いてあった。
先生の忘れ物かなと思いつつ
僕は無意識に分厚い本を手にとった。
「研究部・・・?」
表紙には研究部と書かれていた。
聞いたこともない部活の名前だなあ
不思議に思いながら表紙をめくる。
876年 秋
平和を好む者たちでつくった国が、デバブ王国。
その国の王は、オワン・ヒポッタと名のった。
誰よりも平和を愛する者だったという。
877年 秋
国ができて一年が経ち
二年目の祝いの祭りの準備の頃だった。
その時に国に来た者がいた。
その人は、名を――「見るなああああああああ!!」
僕はびっくりしてとっさに本を閉じた。
叫びながら猛スピードで走ってきたのは
背の低い男の子だった。
「あっ!先輩に対して失礼な態度をとってしまってすいません。
その本僕のなんですけど返していただけませんか。」
なんでこんなところに後輩の本が置いてあるんだろう・・・。
明らかにおかしいぞ、この人はどういう人なんだ・・・?
内心混乱して訳がわからないが表情を変えず後輩であろう男の子に本を返した。
男の子は少し落ち着きを取り戻し、話し始めた。
「あ、えっとですね、僕は飛堂 蒼といいます。二年生です。よろしくお願いします」
と、ぺこりと頭を下げてきた。
「え、お願いします、、、というのは何でですかね、、、?」
少し引きつりながらも笑顔を作って問いかけてみた。
「いろいろ話すと長いのですが聞いてください。僕が遊ぶためにパソコンをいじっていたら
昔の話の謎を解いてみようというゲームが出てきたんです。この歴史を崩した犯人を見つけることができたら
クリアになるよ、というゲームです。」
「歴史を崩した犯人を見つける・・・?」
そんなの昔の話なんだから本を見れば早いんじゃないのかと僕は思った。
「僕も本当に最初はふざけてゲームに挑戦してみたんですけど、つい最近知ったんです。
この現実の世界に本当の犯人がいるんです!」
「本当の犯人・・・!?」
「はい、そこに書いてあった犯人の特徴がですね
とても背が高くて、メガネをしているそうなんです。
でもやっぱりその人がもし本当に犯人だとしても
昔の話すぎるし、若いわけがない、生きているわけがないと思ったんですが
いるんだなあって思いました。」
そう言いながら飛堂 蒼くんは僕をじっとみつめてきた。
「えっ!?僕!!!???」
「ハイ。」
「でも待ってよ、僕たった今初めて聞いたからこの話、、、」
「そうなんです。だからまだあなたが犯人だと決めつけてはいけないなと思うので」
「ので・・・?」
「あなたを研究部員へ強制入部させ、研究対象として徹底的に調べさせていただきます。」
「えぇ!調べるって・・・ちょっとそれは・・・」
「もちろん研究部ですから、研究しますよ」
「あ、あ!僕今美術部だから!」
「退部してもらいます。兼部はダメですからね僕たちの学校は。
もし嫌なら、、、そうですね、あなたが犯人ってことで広めてもいいでしょうか?」
「いやいやいや!うー分かった!分かったから!とりあえずまずは部活見学で!」
「ふう、、、わかりましたよ、我儘な先輩ですね、、、じゃあまずは部室へ案内しますね」
く~~!心の中で僕は悔しがりながら
断り切れないこの性格を恨んだ。
背が高いメガネってだけで僕が犯人だなんておかしすぎるぞ
どういう罠なんだこれは!
状況が未だに理解できていないまま部室棟に着いてしまった。
一番奥の薄暗くなった所に、研究部の部室は存在した。
「先輩、ここが部室です。どうぞ入ってください」
「本当にあるんだ研究部なんて、、、ていうかここだけ暗くない?」
「そんなことないです普通です。」
明らかにここだけ薄暗くなっているのも不気味で怖い感情しかない。
でも入らなければ、家に帰れない、早く帰りたい、、、
「ひぃ!?」
足を踏み入れた僕は驚きのあまり
いつも気を付けている入り口で頭をぶつけてしまった。
「な、なにこのドクロ達、、、」
棚にはずらりとドクロが並べられていた。
一体何を研究してるんだここは、、、
まさか人間を解体したり、、、?
「あぁ、このドクロちゃん達は全部僕が作ったんです」
と恋をしている人の様に顔を赤らめながらドクロを1つ手に取り大切そうに抱えた。
研究部